インデックスの収益じゃあ物足りない
アクティブファンドって良いの?
投資信託の投資タイプにはプロに運用してもらうアクティブファンドがあります。
アクティブ | インデックス | |
運用目的 | 企業を選別し指数を上回るリターンを目指す | 指数と一致する動きを目指す |
信託報酬 | 一般的に高い | 相対的に低い |
商品の数 | 多い | 少ない |
アクティブファンドは信託報酬(コスト)が相対的に高いものが多く、投資期間が長期(10年超)となる場合には、インデックス投資が向いていると言われています。
じゃあインデックス一択だね
それだと、もったいないです
急な出費がかさむ昨今、10年以上使わないお金はそれほど多くない家庭がほとんどです。
そのため、5年程度の期間でお金を上手く増やす手法として、アクティブ投資も一つの選択肢となります。
この記事では、アクティブファンドの特徴とインデックスに勝つ割合、どの国のアクティブファンドが勝ちやすいのかを解説します。
もし、参考になったと思われたら、友人や親戚に “SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
アクティブファンドとは
本来アクティブファンドとは、インデックスファンドを除く全ての商品を意味しています。
一般的な、アクティブファンドはコストが高くプロが運用しているイメージが大きいので、こちらの記事では、コストが高い商品について解説します。
コストが高いってどれくらいのなの?
1%以上から2%程度ですね
プロに運用される商品は、ファンドマネージャーが市場の動向や個別企業の状況に基づいて、柔軟に運用方針を決定する投資信託です。
インデックスファンドと異なり、ベンチマークを上回るリターンを目指すのが特徴です。
ただし、ファンドマネージャーが考えて投資する分、コストが高くなり、投資銘柄を絞ることによるリスクが高くなる傾向があります。
アクティブファンドの優位性
アクティブファンドの最大の強みは、市場のトレンドや特定の業界に特化して運用できる点です。
インデックスが好調な時には、指数を構成する上位銘柄へ全振りしたファンドへ投資ができますし、利下げで新興企業が有利と見ると、新進気鋭な企業へ投資するファンドへたった数日で資金を移動することができます。
インデックスより良いの⁉
数年程度ではアクティブの方が優位となります
後述しますが、一部のアクティブファンドはインデックスを上回るリターンを得ています。
実は、流行しているインデックスファンドには、あまり知られていないインデックスならではのデメリットが存在します。
インデックスファンドのデメリット
インデックスファンドはインデックス(指数)使用料が発生します。
そんな項目あったっけ?
明示されていないコストになります
指数使用料は運用会社と指数算出会社の契約により異なり、その費用は明示されていません。
費用は資産残高の0.01~0.03%とも言われており、インデックス手数料が大きかった時代には注目されていませんでした。
アクティブファンドにはこのコストが発生しませんから、密かに指数と連動することを目的とした「隠れインデックスファンド」のようなアクティブファンドがあります。
例えばどんな商品があるの?
コストを下げる目的の商品はこちらの記事を参照してください。>>最低コスト投資
投資先で見るアクティブファンドの勝率
切り取りする期間によって異なりますが、2023年から過去を見ると、リターンは下の表になります。
市場 | 過去1年 | 過去3年 | 過去5年 | 過去10年 |
米国 | 14.93% | 32.15% | 25.90% | 16.93% |
欧州 | 25.21% | 37.78% | 27.37% | 16.77% |
日本 | 35.30% | 37.35% | 26.55% | 20.18% |
出典:SPIVA® U.S. Scorecard(2023)
2023年の米国株は指数を構成する上位銘柄(ビックテック)を中心に上昇したため、インデックスが優位となっています。
下の表は、米国株に約19%の下落があった2022年の勝率です。
市場 | 過去1年 |
米国株 | 約47% |
日本株 | 約30% |
国際株 | 約58% |
新興国株 | 約20% |
2つの表からわかることは、市場のパフォーマンスが悪い時、もしくは停滞している時にアクティブファンドの勝率が高くなるということです。
銘柄選別というアクティブファンドの強みが、上手くリスクマネジメントにハマったためアクティブファンドの勝利に繋がっています。
アクティブファンドはアッパーだけでなく、ダウンサイドも大きくなると思われがちですが、ダウンサイドリスクはインデックスに比べて限定的になっているのが特徴です。
有益なアクティブファンドの具体例
アクティブファンドは数年で売買する投資手法が理想的となります。
株式のようなペーパーアセットは直ぐに現金化や方針転換できるのが大きな強みで、そうした強みを最大限に活かすためにアクティブファンドが最適です。
【短期向き】テーマ関連の銘柄
前述しましたが、トレンドへ簡単に乗っかることができるのもアクティブファンドへ投資するメリットです。
ファンド名 | 過去1年 | 1年リターン |
野村 世界半導体株投資 | 100% | 73% |
米国NASDAQオープンBコース | 100% | 39% |
ニッセイAI関連株式ファンド | 100% | 35% |
勝率100%⁉
リターンも大きいです
この投資のメリットは、トレンドの終わりと感じたら直ぐに別の投資ファンドへ乗換えが可能だということです。
売買の判断を要求されますので、情報感度を高めていないと、こうしたタイミング売買的な運用は難しくなります。
アクティブファンドの利点は銘柄を絞ることに投資意義があります。
アクティブファンドで数千社へ投資する投資信託は注意が必要です。※手数料がインデックスファンドより低い商品を除く
多くの企業へ投資資金を分散するとインデックスへ値動きが近寄ってしまうため、手数料を多く支払うメリットが相殺される可能性があります。
次に、アクティブファンドでありながら、10年程度保有してもリターンが見込める有益なファンドを紹介します。
【長期向き】世界のアクティブファンド
キャピタル世界株式ファンド
キャピタル・グループの運用資産は2.6兆ドルを超えており、その資産規模でこそ可能な投資戦略を取っており、この戦略は「キャピタル・システム」と呼ばれています。
この戦略は一つのファンドに対して、投資スタイルの異なる複数の運用担当者がチームを組んで運用を行います。
これにより、投資への確信度を高め、ボラティリティを抑えることが可能となります。
上のチャートは信託報酬を加味したトータルリターンとなります。
キャピタル世界株ファンドは下落抑制を効かせて、上昇時に平均以上の値上がりが狙えるアクティブファンドとなります。
コロナショック以降の上昇はオルカンに比べて大きな上昇となりました。
その後、値動きは似かよっていますが、常にオルカンをアウトパフォームしています。
順位 | 銘柄 | 地域 | セクター | 比率 |
1 | マイクロソフト | 米国 | 情報技術 | 3.86% |
2 | メタ | 米国 | 通信 | 3.32% |
3 | ノボ ノルディスク | デンマーク | ヘルスケア | 3.03% |
4 | TSMC | 台湾 | 情報技術 | 2.55% |
5 | ブロードコム | 米国 | 情報技術 | 2.40% |
6 | アルファベット | 米国 | 通信 | 1.85% |
7 | ASML | オランダ | 情報技術 | 1.83% |
8 | アストラゼネカ | イギリス | ヘルスケア | 1.58% |
9 | イーライリリー | 米国 | ヘルスケア | 1.56% |
10 | エヌビディア | 米国 | 情報技術 | 1.46% |
参照元:Capital Group
上の表は2024年3月時点の組み入れ上位10銘柄となります。
これを見る限り、Appleは入っていないものの、オルカンの構成銘柄と近いことがわかります。
こうした、インデックスぷらすアルファでインデックスより高いリターンを叩き出す手法は賢い手法です。
ちなみにチャールズエリスも推奨しています
インデックス投資の書籍「敗者のゲーム」の著者チャールズ・エリス氏がインデックスに勝ち続けているファンドとしてキャピタル・グループを紹介しています。
こちらの書籍を読めばキャピタルグループについて深く知ることができます。
【長期向き】日本のアクティブファンド
ひふみ投信(ひふみプラス)
ひふみ投信を運用するレオス・キャピタルは日本のアクティブファンドで最も有名なファンドとなります。
中でも、「ひふみ投信」は2008年から運用が開始され、日本の株式指数を大きく上回るリターンを叩き出し、個人投資家から絶大な人気を誇るアクティブファンドです。
運用哲学は「守りながら増やす」としており、ボラティリティーを抑えつつ、日経平均よりも高い上昇率を目指しています。
時価総額トップ100社以外の企業研究に多くの時間を費やし、不当に安い株を発掘することに注力しています。
中小型株への投資がポイントなんだ!
順位 | 銘柄 | 市場 | セクター | 比率 |
1 | 日本郵船 | プライム | 海運業 | 2.22% |
2 | 富士通 | プライム | 電気機器 | 1.73% |
3 | 日本製鋼所 | プライム | 機械 | 1.57% |
4 | 三井住友フィナンシャル | プライム | 銀行 | 1.56% |
5 | オリックス | プライム | その他金融 | 1.49% |
6 | M&A総研HD | プライム | サービス | 1.48% |
7 | ゴールドマンサックス | NYSE | 銀行 | 1.46% |
8 | TDK | プライム | 電気機器 | 1.45% |
9 | インターネットイニシアティブ | プライム | 情報・通信業 | 1.42% |
10 | GMOペイメントゲートウェイ | プライム | 情報・通信業 | 1.40% |
時より組み入れ銘柄が大きく変化します
2024年1月にはマイクロソフトが2位となっておりましたが、今はトップ10位にも入っていません。
過去5年を振り返ると「ひふみ投信」のリターンが日経平均を下回っています。
指数の方が良いのでは?
超長期で見るリターンは、ひふみ投信の方が高いですが、近年インデックスにリターンが劣後しています。
これは、一見すると悪い兆候に感じます。
詳しくは後述しますが、これはファンドマネージャーの方針にブレがない証左となり、大きなリターンを上げるファンドが持つ特徴です。
アクティブファンドのリスクと注意点
アクティブファンドの大きなリスクは、ファンドマネージャーの判断に依存する点です。
ファンドマネージャーが市場の動きに対応できない場合、インデックスを大幅に下回るリターンになるリスクがあります。
また、信託報酬が高いため、そのコスト分かさ上げされたリターンを得ることができて、やっと指数と同じリターンとなります。
テーマ投信などのアクティブファンドは市場のタイミングを見誤ると、大きな損失を被る可能性があるため、リスク管理が重要です。
注意したいアクティブファンドの選び方
アクティブファンドの人気ランキングが表示されているサイトがありますが、これに乗っかって投資するのは早計です。
なんで?勢いがあって良いのでは?
今の場合は、含み損が多くても優秀な場合があります
これまで解説したアクティブファンドの勝敗分析で、アクティブファンドがインデックスに比べて優位となる相場は以下の2つになります。
逆に、インデックスファンドが好調な時は「上昇相場」です。
現在、日本と米国市場は上昇相場となっています。
そのため、過去と同じように推移するのであれば、これからの数年間はインデックスに劣後する可能性が高いです。
ファンドの方針変更
トレンド変化が起きていない時にパッとしないリターンのファンドが息を吹き返すことがあります。
これは、一見すると良い兆候に感じてしまいそうですが、ファンドマネージャーの方針がブレてしまっている可能性が高いです。
運用当初の方針が変化してしまうことで、大きな収益が望めないファンドへ成り下がってしまいます。
【まとめ】アクティブファンドに向いている投資家とは?
アクティブファンドは、成長市場や特定の業界に対して積極的に投資を行いたい投資家に適しています。
ただし、株式投資に深い造詣を持たない初心者がアクティブファンドを選ぶのは難しいのが現実です。
優れたファンドマネージャーを選ぶ眼を持つことや、タイミングにより注目されやすい分野を考える必要があるからです。
「月次レポート」の確認も大切です
ファンドマネージャーの方針変更の有無は「月次レポート」で、ある程度把握ができます。
投資に対して労力を惜しまなければ、市場の動向をタイムリーに捉え、プロの判断を活かすアクティブファンドは効果的な選択肢となるでしょう。
記事が、タメになったと思われたら、“SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
関連記事
インデックス投資には「見落としがちな欠点」が存在します。インデックス投資の隠れた弱点はこちらで解説しています>>インデックスの欠点
投資信託の比較時には、手数料を正しく計算する必要があります。ところが、信託報酬の「実質コスト」は表れていないので、あなたが確認する必要があります。投信のコストについて徹底解説している記事はこちらになります。>>隠れコストの確認方法
投資信託を実際に選ぶ時に”どのサイト”で”どうやって”探せば良いかを画像を用いて、初心者でもわかるように解説しています。>>投資信託の選び方
投資信託を分類すると大きく3つに分類できます。そうする事によって投資信託を上手く活用することが可能となります。投資信託の使い方について詳しくはこちら>>投資信託の使い方
コメント