こんな疑問がある方のために、記事を書きました。
投資信託の手数料ってどれくらいかかるの⁉
手数料が高いファンドが良いの?
世間でサービスを受けるときには、お金を沢山支払った方が “良いサービス” を受けられるのが一般認識です。
しかし、投資信託などの金融商品では手数料が高ければ運用成績が良くなることは滅多にありません。
実際に長期間(15年)で見ると(手数料が比較的に高い)アクティブファンドがインデックスに勝てる割合は、10〜15%しかありません>>>日本経済新聞2016年9月16日号記事より
投資信託に発生する手数料を理解して、この手数料は割高なのか?それとも割安なのか?を判断できるようになると、『ぼったくり投資信託』の被害の防止ができます。
今回の記事では投資信託の「手数料」や、その他に懸念すべき「コスト」、そして「信託報酬の目安」について解説します。
投資信託の手数料について
私が初めて投資を始めてから、十数年経過しました。当時は、投資信託で、『ノーロード』と呼ばれる販売手数料無料の投資信託は3つぐらいしかありませんでした。
ノーロードってなに?
ノーロードとは、『販売手数料』が無料な投資信託に使われる用語です。
しかし、現在は投資信託で手数料が安い優れた商品が増えて、ETFと比較して投資信託が優位となるケースが多いと感じています。
手数料ってそんなに重要なの?
超長期投資では数%が大な差になります
下の画像は「マネープラザONLINE」から出典した物になります。たった数%が大きな差となるのがわかります。
・金利1%,3%,5%の複利計算
利回り | 元本 | 利益 | 資産額 |
1% | 720万円 | 76.6万円 | 796.6万円 |
3% | 720万円 | 264.9万円 | 984.9万円 |
5% | 720万円 | 513.1万円 | 1233.1万円 |
たった2%の違いで、約250万円ものお金を失うことになります。
1%でも減らしたい!
長期運用に重要となる手数料ですが、大きく分けると3つあります。
では、各手数料の詳細について確認していきましょう。
販売手数料の詳細
1つ目は『販売手数料』です。これは、購入する時に発生する手数料で、購入額の数%を支払います。積立投資の場合は購入毎に毎回発生する手数料となります。
実は、販売手数料は商品で一律に決まっている訳ではありません。
どういうこと?
証券会社で設定する手数料であり、証券会社で負担している商品もあるため、証券会社の努力により無料となっている商品もあります。
元々無料である投資信託や企業努力で無料となる商品を合わせて、とにかく無料な商品を探す時に「ノーロード」と言うワードを使うと便利です。
また、窓口からの申し込みすると手数料が発生する証券会社もありますので、ネットから買付申し込みするのが無難です。
信託報酬について
ここで言う信託報酬は、商品を所有するだけで発生している運用費用の事を「信託報酬」と定義しています。『運用管理費用』とも呼ばれます。
ファンド運営にかかる3社への手数料の事を信託報酬と言われます。
投信会社:ファンドの運用する企業への対価
販売会社:運用報告書等送付の対価
受託会社:ファンドの財産管理の対価
私の考えは、後述しますが、インデックス投資であると、ベンチマークする指数に連動するように組み入れ銘柄を変更するだけなので手数料は安く
先物を取引対象にしている投資信託であれば、それなりに手数料は高くなるのが普通だと考えています。
ベンチマーク(benchmark)とは、「基準」「水準」あるいは「指標」といった意味の表現です。金融関連の分野では、日経平均株価指数やNASDAQ総合指数などの指標銘柄をベンチマークとすることが多いです。
扱う “純資産額” に応じて変動する商品もあります。例えば “純資産額” が増加すると、報酬額が減少する商品が一般的です。
後述する「信託財産留保額」という手数料も無料が一般化した現在では、投資信託のコスト比較といえば、「信託報酬の比較」といってもいいくらいです。
信託財産留保額
信託財産留保額は、投資信託を解約する際に発生する手数料です。
運用会社は投資家が投資信託を解約したら、株を売却する必要があります。売却には手数料が発生しますので、その手数料分の費用となります。
売却時に支払いが必要となるの?
売却金額から”天引き”されます
そもそも、信託財産留保額は償還日が設定されている商品に発生することがほとんどです。
その理由は、短期で頻繁に売買されると運用の安定性を保つことが難しくなるため、それを抑えるために設定される場合があります。
金額が減少すると、投資銘柄変更時に手数料の影響が大きくなります。
・投資家の公平
解約した方の手数料負担を商品を保有する投資家に負わせると既存の投資家が損を被る。
インデックス投資の場合、償還期間が無期限なものが多く、信託財産留保額も無料な商品が数多く存在します。
『信託期間』とも呼ばれ、商品が販売されてから満期までの期間のこと。満期になれば現金化されます。
他にも発生するコスト
商品の購入時に”見えないコスト”が3つあります。
それでは、保有している限り信託報酬として課せされる「隠れコスト」について解説します。
「隠れコスト」と「実質コスト」とは
実は、前述した信託報酬に『交付目論見書』(目論見書)に書かれている手数料以外にも手数料が発生しています。
騙されているの?
騙しではないです
隠れコストは、有価証券を取引した時に発生する税金であったり、売買時に仲買人へ支払う対価であったり、実際に運用しないと確定しないため、「交付目論見書」(目論見書)に記載することができません。
隠れコストってどこに載っているの?
このような隠れコストが書かれているレポートは、『運用報告書』となります。投資信託によっては『交付運用報告書』となっていることもあります。
隠れコストを確認する時に、注意したいのは、1年の運用報告書を確認するということです。
隠れコストは、時期により変化する費用もあるため、1年で表示されている運用報告書を使用するのが主流です。
信託報酬額の他に発生する手数料のこと。主に『売買委託手数料』『有価証券取引税』『その他費用』があります。
【隠れコストの算出方法】
2÷16,991円×100=0.0117%
※(a)のコストを除く分
【実質コストの算出方法】
13÷16,991円×100=0.0765%
上図の(a)以外の手数料が「隠れコスト」と呼ばれる手数料です。
隠れコストは「運用報告書」にしか記載していませんので、新しい商品には書かれていません。新しい商品は「運用報告書」が提出されてから投資を行なうのが良いでしょう。
投資信託売却時に発生する譲渡税
実は、資産運用で資産が増えたらその分税金が発生します。
え!そんな…
投資信託を売却した時に利益があったら、利益額から税金が引かれます。この税金のことを譲渡税と言い、約20%引かれることになります。
100×0.20315=約20万円が税金で引かれる。
2037年まで➡20.315%
2037年以降➡20%
(復興税があるため、0.315%の税金が加重されています。)
合法的に譲渡税がかからない方法
譲渡税を合法的に逃れる手段があります。それが、『NISA』と『iDeco』になります。
『iDeco』はNISA以上に注意したい点がありますが、記事の本質から脱線するため別の記事で詳しく解説します。>>>iDecoの注意事項
その他に、課税されていない方が株式で利益が出た場合も「確定申告」で税金の還付による実質無税となることができます。
分配金にかかる税
分配金には税金が発生しています。しかも、海外の商品であると二重で課税されている可能性があります。
分配金の税金:20.315%(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%)※復興特別所得税は2037年まで
どういうこと?
日本の投資信託が投資する先が、米国ETFで米国国外へ投資されているETFであると、米国外(現地)の税額が調整されていないので、二重課税となってしまいます。
例えば、全世界に投資を行なう「VT」を購入する投資信託では、二重課税となっています。
オルカンはと言うと…
個人投資家の支持率が高い、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)はETFの購入ではなく個別株を購入しているため、二重課税となりません。
(eMAXIS Slim 米国株式 S&P500 は2020年より日本の課税のみになりました。)
信託報酬の目安
『交付目論見書』に記載されている『信託報酬額』は、“指数に連動を目指す商品” か、それとも “指数を上回る運用を目指す商品” かにより信託報酬手数料の水準は変わります。
指数を超える:アクテブファンド
インデックスは「日経平均」など決まった指数と同じ構成・タイミングで株式の保有を管理すれば良いので、手数料が安いです。
一方、アクティブファンドは指数より高いリターンを追求するため、手数料が高くなります。
インデックスファンド
インデックスファンドは指数に連動するように運用されている商品です。
そのため、個別株で指数を構成しているファンドであれば、銘柄組み換え時期のみ売買を行いますし、ETFを購入しているファンドでは売買がありませんから、手数料が安くなります。
連動する指数によって手数料はどうなるの?
インデックスファンドは連動する指数によってもコスト水準が変わります。
例えば“米国”や“全世界”のようにメジャーで純資産額が大きい指数であれば、手数料は安くなります。
その一方、“新興国”の指数であったり、“先物取引”や“オプション”を利用するようなレバレッジ商品であると、インデックスファンドであっても信託報酬は大きくなります。
同じ指数の中で最安ファンドを選ぶと良いです
インデックスファンドを選ぶ上で重要な点はベンチマークする指数が同じファンドを抽出し比較することです。
インデックスファンドは手数料の他に“トラッキングエラー”が重要視されています。トラッキングエラーについてはこちらの記事で詳しく解説しています。>>トラッキングエラーとは
アセット | 信託報酬 |
債券 | 0.1%から1%程度 |
全世界 | 0.1% |
米国 | 0.2% |
新興国 | 0.15%から0.4% |
レバレッジ | 1%程度 |
※上記の報酬には「隠れコスト」は含んでいません
アクティブファンド
アクティブファンドは各ファンドの方針により、売買を行い市場平均より高いリターンを目指すファンドです。
ファンドマネージャーの判断で積極的に売り買いを行いますので、手数料が上がります。
運用会社の方針は交付目論見書へ運用の“目的”や“特色”が記載してあります。この目論見書に書かれたルールに従い運用を行います。
アセット | 信託報酬 |
債券 | 0.15%から2%程度 |
株式 | 0.1%から2.7%程度 |
※上記の報酬には「隠れコスト」は含んでいません
どうやって優れたファンドを探せば…
過去の実績が参考にできます
冒頭にも記載しましたが、アクティブファンドの多くは投資期間が長くなるほど、インデックスファンドに劣後します。
それでも、優秀なアクティブファンドを探したい時は、過去5年から10年の運用成績が参考になります。
注意したいのは、トレンド系である「バイオ」「AI」などのファンドや「ターゲットイヤー型」などのファンドマネージャーの目利きができない手数料が高い投資信託とアクティブファンドを混合しないという所が注意です。
購入時・売却時(解約時)について
先述したように、購入する時に『販売手数料』売却する時に『信託財産留保額』という手数料が発生すると記載しました。
しかし、純資産総額が大きく個人投資家に人気な投資信託で『インデックスファンド』であると、この二つの手数料が発生しない商品となります。
仮に販売手数料が発生する商品は、購入場所を「窓口」から「ネット証券」へ変えると手数料が発生しないケースが多くあります。
投資信託の手数料【まとめ】
投資信託の手数料は3つに分類され、「購入時」「運用時」「解約時」のタイミングに発生します。インデックス投資は手数料が低いのが理想的なため、「購入時」「解約時」の手数料は無料な商品が一般的です。
運用時にかかる「信託報酬」には運用後にしかわからないコストが発生するため、「実質コスト」でインデックスファンドを比較するのが、賢い手法となります。
アクティブファンドは手数料が高い傾向がありますが、それ以上の運用成績が期待できるため、過去の運用成績から実力のあるファンドを選ぶのがコツです。
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