投資タイミングを知りたい
サイクルを知って将来の下落に備えたい
実は、株式指数の株価は、決まって「ある時期」に下落する傾向があり、そして「別の時期」には上昇する季節的な傾向があります。

季節的な傾向って?

一定の時期があるということです
株が下落する時期を知っておけば、事前に利益を確定させることもできますし、下落に対する「備え」ができます。
現在は、グローバル経済が進んできたため、この季節的な投資サイクルも「より大きく」そして、経済活動の相関性が徐々にわかってきました。
この記事を読めば、先行き不透明な市場に対し闇雲にリスクを冒すことなく、おおよその判断基準を持って投資することができるようになります。
現在でも有効に機能する波

前述しましたが、「国際的な製品」や「世界同時の新技術」が採用される際には、多くの企業が一斉に稼働しますのでサイクルが生まれます。
市場に存在する「1年の波」
日本市場の下落は2月と10月に起きやすいことが知られています。

なんで2月と10月なの?

米国投資家の動向が関係しています
日本市場の投資割合では海外マネーが約7割を占めています。
株式マーケットで最も大きい市場が米国市場で、米国市場の季節的な要因がある2月と10月に日本市場も底を付けやすいです。

なんで2月なの?

税金の還付があるからです
米国の労働者は日本のように年末調整がなく、全員が税務署で納める税金を確定させます。
企業は労働者が税金を後で徴収されないように多めに税金を納めますから、米国労働者は確定申告することで、多くの税金還付を受けることになります。
その還付額が約40兆円となり、これが2月から5月にかけて還付され、その一部が株式市場へ流入しますので、2月にボトムを付けやすくなります。

じゃあ10月の理由は?

投資信託のファンドによるものです
10月はファンドが「損出し」をする最終期限月となります。
ファンドが出資者へ報告する年次報告書に問題を起こした企業やレーティングが下げられた銘柄が入っていると、出資者へ理論的な説明に窮するため、説明のしやすいポートフォリオへ整理されます。
そうした体裁を整える売買が行われやすく、ファンドの資金が集まりやすい企業の内、パフォーマンスが悪い銘柄はより安くなります。

個別銘柄のタックスロスセリングに近い動きです
こちらの記事でタックスロスセリングについて詳しく解説しています。>>タックスロスセリング
国際的な製品に対するサイクル

最近の産業で最も発達した製品は「携帯電話」です。
今や1人に1台は当たり前となっている携帯で世界一位のシェアを誇るiPhoneが、国際的な製品となります。
iPhoneの在庫と株価が約3年の逆相関となっていることが理解できます。

上図を見ると、販売数がピークを付ける前に在庫を増やすため、株価は上昇傾向になります。
iPhoneの3年周期は後述する「キチンの波」とほとんど一致するサイクルとなります。
携帯電話の繋がりでは、通信ネットワークについても世界同時に技術の発展を遂げる技術となります。
長期サイクルの相場観

1980年代から約10年毎に通信速度の大容量化が進み、そのたびに通信網と通信基地局の整備が行われます。
こうした通信技術は、世界で最速な開通を目指すため、一斉に工事が行われます。
いざ開通となってしまえば、ネットワークがほとんど出来上がっている状態ですから、建築がストップします。
上図をみると、開通してから1年をかけて株価は下落し、底を付けます。
そこから「次世代規格」の開通に向けて上昇します。
5Gは2027年にかけて普及し、「6G」ネットワークが広がりつつあると、通信工事の下支えが無くなります。

実は、6G以降ハードの工事が減る懸念があります

なんで?
これまで、通信規格の変更には何らかのハードの改修工事が必要となっていました。
しかし、ハードへ手を加えずにソフトのみ変更で新技術が使える技術が普及してきています。
これが世界へ広がるとハードの工事が不要となり、このサイクルは終わります。
50年の超長期サイクル
日本市場に限っていえば、高度経済成長期に集中して建築された造営物への修繕を考える必要が生じています。

鉄筋コンクリートの耐久年数は50~60年となりますから、1988年からの約10年で道路などのインフラ事業に巨額な資金が投じて生産された「道路」「橋」「建物」は次々に耐久年数を迎えます。
道路や橋などのインフラ整備は必要不可欠であり、一気に音を上げる設備に修繕が追いつきません。
そのため、工事の平準化を目的とした前倒しの改修工事が2023年から2050年にかけて行われます。
波乗りに最も大切な考え方

サイクルを考える時に最も重要な考え方は、波が「フラクタル構造」だということです。
一つ一つで見ると小さい波が、数年単位で見ると大きな波を形成しているため、小さい波では上昇のタイミングでも、大きな波の下落であれば、上昇を見込めにくい状況です。

必ず長期な視点から細分化しよう

「4つの波」の由来は提唱者の名前

これから紹介する4つの波は、全て提唱者の名前を取ったものです。
経済の低迷期から回復期までを1サイクルとし、周期が短い約3年から長くて約50年の波が存在しています。
【キチンの波】「3.3年」の在庫サイクル

景気循環の「波」で一番短期的な周期となるのがこの「キチンの波」です。
この波は約3~5年を一周期としています。

どんな波なの?

生産と在庫の関係です
この「在庫」が指す物は食料品や小口需要など一般的な物を省いています。
この波は工業製品の在庫で企業間の需給に関係しています。

なんで企業間取引なの?

大きいロット注文が入るからです
企業間の取引は、必要数が大きく納期も限られているため、それに応える必要があります。
グローバル化が進み、買い手市場となった昨今では、急な需要に対応できなければ、儲けを他社に取られかねません。供給側は競争力を保つため、予め在庫を確保しておく必要が生じます。
iPhoneなどの大きな需要が見込まれる製品を大量に生産すると、間接的に材料を供給する企業への収益を押し上げる効果があります。
つまり、生産段階では様々な企業の収益が上がりやすく、それを予見した株式市場の上昇が見られます。
逆に、在庫が積み上がると、生産がストップに繋がり、株式市場の下落となります。
【ジュグラーの波】「10年」の設備増強サイクル

フランスの経済学者が提唱した、この波は設備の寿命による更新や生産力の増強を狙った設備増強の7〜11年サイクルです。
このサイクルは、旺盛な需要を現在の生産ラインで捌ききれなくなった時に、製造設備の増強を図る時に実行されるサイクルです。
設備工事は工事の半分完成した時点で停止することはありませんから、在庫の調整より停止し難く、大きなトレンドで現れます。

製品を作る「設備」の波かぁ

在庫積み上げで対応できない需要への設備増強です
【クズネッツの波】「20年」の建築サイクル

クズネッツの波はソ連で誕生した米国の経済学者によって提唱され、「建築循環」や「人口動態循環」と呼ばれています。
製造拠点の新設に伴う建築需要による経済サイクルのことで、約15~25年を一つの周期としています。
生産拠点を増やすほどの需要が生まれる時には、移民の流入による人口の増加も関係性が高く、人口動態循環とも呼ばれています。

生産拠点を広げる波かぁ

設備増強で対応できない需要への拠点新設です
【コンドラチェフの波】「50年」の技術革新の波

この波は、前述した3つの波と異なり、「経済革新」のサイクルとなり、周期は約50~60年となります。
景気は約20~25年で好景気と不景気が繰り返され、一つの周期を約40〜50年という半世紀で描いているということを、ソ連の経済学者が提唱しました。
波の周期 | 暦年 | 産業 |
1つ目上昇 | 1790年代~1810年代 | 蒸気機関、紡績の時代 |
1つ目下降 | 1810年代~1850年代 | |
2つ目上昇 | 1850年代~1870年代 | 鉄鋼、鉄道の時代 |
2つ目下降 | 1870年代~1890年代 | |
3つ目上昇 | 1890年代~1910年代 | 化学、電気、自動車の時代 |
3つ目下降 | 1910年代~1940年代 | |
4つ目上昇 | 1940年代~1960年代 | エレクトロニクス、原子力、航空宇宙の時代 |
4つ目下降 | 1960年代~1990年代 | |
5つ目上昇 | 1990年代~2010年代 | 情報通信、バイオテクノロジーの時代 |
5つ目下降 | 2010年代~2030年代? |
具体的には、第一次産業革命では蒸気機関の登場から、現在の情報通信技術の発達までの約50年程度のサイクルで大きな変化が起きています。
波を利用して資産を築いた投資家
経済サイクルを先読みした投資で財を成した投資家も存在します。
「菅下清廣」氏は投資家の中でも、経済サイクルについて造詣が深く、経済サイクル投資について知りたい方はこちらの書籍がより参考となりそうです。
至近にくる波の循環

このチャートによると、2025年にかけて技術革新の「コンドラチェフの波」と建設投資の「クズネッツの波」が同時に来ると予測されています。

2025年と言えば

大阪万博!!
2025年に大阪万博が開幕しますので、開幕までが万博自体や周辺ホテルの建設ラッシュとなります。
更に、チャットGPTをはじめとする「生成AI」がクローズアップされ、AI技術が身近に感じられてきました。
AI需要も相まって、短期的には上昇の追い風が来ているように感じます。
「4つの波」の信頼度

「4つの波」については、全て仮説に基づき考えられているため、経済圏が小規模地域の場合や経済危機に措置を講じない過去に起きていた事象です。

何が変わったの?

中央銀行の存在です
過去と現在の違いは、中央銀行によって通貨の量的緩和が行われており、急激な株価下落によって経済が停滞する前に、政府と連携した通貨の供給が起き、強制的な需要刺激があります。
過去と比べて中央銀行の大胆な金融政策が、市場における景気サイクルを乱し、平坦かつサイクルの長期化(延命)を促す事に繋がっています。

歪なサイクルは読みづらい…
歪なサイクルとなった市場全体を考えるより、企業毎へ投資する時の判断に使うと適切な投資判断が行えます。
【まとめ】今後の市場

短期的には1年のサイクルが見られるものの、「国際的な産業」のサイクルや「世界同時の新技術」が採用される際には、大きな波により小さいサイクルの影響は打ち消されます。
そのため、マクロな視点で見る時には「長期」の波から「短期」の波へ視点を細分化すると、全体像が鮮明に見えてきます。

大きな流れと異なる変化があった時に注目するのがコツです
期間 | 種類 |
3から5年 | 需要と在庫のサイクル |
7から11年 | 設備増強のサイクル |
15から25年 | 製造拠点の増加サイクル |
50から60年 | 経済革新のサイクル |
期間 | 種類 |
2月,10月ボトム | 税金還付と損切月 |
3年 | 電子機器の更新サイクル |
10年 | 通信網や基地局の整備 |
50から60年 | インフラ建設物の更新 |

過去のサイクルはこれからも使えるのかなぁ
これまでの産業は産業革命から「物」に対して波が見られていました。
しかし、これからは「コト消費」という言葉に集約されるほど、体験型サービスの需要や、通信サービスを始めとするIT技術の発達によって、生産に寄らない新しい産業ならではの波が誕生することが予想できます。
もし、参考になったと思われたら、友人や親戚に “SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
関連記事
米国株投資は、「景気循環」と「金融政策」によって強くなるセクターが変化します。セクターローテーションが回ってくる前に、資金を投入できれば資産が増えるチャンスとなります。
米国の感謝祭が終わる11月下旬から起きやすい「タックスロスセリング」。これは、所得税を減らすために行う、損出しとなります。このタックスロスセリングについてこちらの記事で解説しています。
新年になると、株式市場が上昇しやすい「1月効果」が始まります。この1月効果について20年のデータから起きやすい企業について解説しています。
コメント