こんな疑問がある方のために、記事を書きました。
1月効果って本当にあるの?
検証したらどうなるの?
この疑問を解消する記事を書きました。
「1月効果」って聞いたことありますか?
1月に株価が上がりやすいこと?
その通りです
説明はできないけど、偏りがある事象のことをアノマリーと言います。1月効果もこういったアノマリーの一つだと言われています。
このアノマリーが有効であれば、年始に株式を購入して1月の末に売却するだけで、一定のリターンが見込めます。
この記事では、1月効果について検証して、正しい知見から1月効果を再定義します。
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1月効果の検証
1月を単純に捉えると、他の月よりもリターンが高くなるというアノマリーです。
実際に、このアノマリーが適切なのか約20年間を振り返ってみましょう。
1月のリターン
騰落率 | S&P500 | NASDAQ100 | Russell 2000 | 米国債 | 金 |
2002年 | -1.57 | -1.7 | -1.11 | なし | 1.29 |
2003年 | -2.74 | -0.13 | -2.85 | -0.58 | 5.78 |
2004年 | 1.73 | 1.71 | 4.28 | 1.86 | -3.18 |
2005年 | -2.53 | -6.26 | -4.23 | 3.57 | -3.63 |
2006年 | 2.55 | 3.98 | 8.91 | -1.34 | 10.44 |
2007年 | 1.41 | 2.01 | 1.61 | -1 | 2.59 |
2008年 | -6.12 | -11.68 | -6.88 | 2.09 | 10.98 |
2009年 | -8.57 | -2.59 | -11.2 | -13.07 | 5.33 |
2010年 | -3.7 | -6.41 | -3.73 | 2.69 | -1.39 |
2011年 | 2.26 | 2.89 | -0.31 | -3.08 | -6.22 |
2012年 | 4.36 | 8.35 | 7 | -0.33 | 11.03 |
2013年 | 5.04 | 2.65 | 6.21 | -3.19 | -0.69 |
2014年 | -3.56 | -1.95 | -2.82 | 6.3 | 3.21 |
2015年 | -3.1 | -2.07 | -3.26 | 9.82 | 8.37 |
2016年 | -5.07 | -6.84 | -8.85 | 5.57 | 5.36 |
2017年 | 1.79 | 5.2 | 0.35 | 0.81 | 5.2 |
2018年 | 5.62 | 8.65 | 2.57 | -3.26 | 3.22 |
2019年 | 7.87 | 9.11 | 11.19 | 0.38 | 3.04 |
2020年 | -0.16 | 2.96 | -3.26 | 7.69 | 4.78 |
2021年 | -1.11 | 0.29 | 5 | -3.63 | -2.7 |
2022年 | -5.26 | -8.52 | -9.66 | -3.91 | -1.78 |
・NDX:NASDAQ100
・RUT:Russel 2000
・TLT:米国長期債
・GOLD:金
S&P500 | NASDAQ100 | Russell 2000 | 米国債 | 金 | |
勝敗 | 9勝12敗 | 11勝10敗 | 8勝13敗 | 10勝10敗 | 14勝7敗 |
勝率 | 42.86% | 52.38% | 38.1% | 50% | 66.67% |
平均リターン | -0.52 | -0.02 | -0.53 | 0.37 | 2.91 |
最大リターン | 7.87 | 9.11 | 11.19 | 9.82 | 11.03 |
最低リターン | -8.57 | -11.68 | -11.2 | -13.07 | -6.22 |
ご覧の通り、直近20年における1月の収益率は他の月と比べて特別に高くありません。この間に暴落が起きたITバブルやコロナショックを除いても勝率はあまり変化しません。
強いて言えば、「金」の勝率が一番良かったという結果がわかりました。
『1月効果』が現れた時代
こちらの画像は資産運用会社のピクテから引用したキャプチャです。
こちらのキャプチャを見ると1990年代以前について、1月効果は有効だったことがわかります。
1月は年間を通じてのバロメータ
So goes January, so goes the year (1月の市場がその年の市場を占う)
ウォール街のアノマリ―
1月の株式はその年の収益率を表すといわれております。
こちらの表はS&P500の1月のリターンとその年の騰落率です。
騰落率 | S&P500 | 年間の騰落 | 相関性 |
2002年 | -1.57 | ‐23.37 | 〇 |
2003年 | -2.74 | 26.38 | |
2004年 | 1.73 | 8.99 | 〇 |
2005年 | -2.53 | 3 | |
2006年 | 2.55 | 13.62 | 〇 |
2007年 | 1.41 | 3.53 | 〇 |
2008年 | -6.12 | ‐38.49 | 〇 |
2009年 | -8.57 | 23.45 | |
2010年 | -3.7 | 12.78 | |
2011年 | 2.26 | 0 | |
2012年 | 4.36 | 13.41 | 〇 |
2013年 | 5.04 | 29.6 | 〇 |
2014年 | -3.56 | 11.39 | |
2015年 | -3.1 | ‐0.73 | 〇 |
2016年 | -5.07 | 9.54 | |
2017年 | 1.79 | 19.42 | 〇 |
2018年 | 5.62 | ‐6.24 | |
2019年 | 7.87 | 28.88 | 〇 |
2020年 | -0.16 | 16.26 | |
2021年 | -1.11 | 26.89 | |
2022年 | -5.26 | ‐19.44 | 〇 |
・正の相関:11回(52.39%)
1月の「一ヶ月間」と「年間の騰落率」が相関していたのは、21年中11回で相関性はありませんでした。
1月効果の考察
1月効果って誰が言い出したの?
1月効果はカンザス大学の「Mark Haug氏」と「Mark Hirchey氏」が書いた2005年の論文が元です。
約200年のデータとなります
約200年のデータを参照し、1月効果について評価しています。1月効果が見られた理由として一つの仮説が浮かび上がりました。
節税対策
1月効果は、11月末から12月15日ごろまで行われる節税対策で売られた株の「買戻し」となります。(節税対策はタックスロス・セリングと言われこちらの記事で詳しく解説しています。)
論文で検証された期間が長く、1954年に導入された『ウォッシュ・セール・ルール』がデータに表れていない懸念があります。
(ウォッシュ・セール・ルールについては後述します。)
投資家の買戻し
節税対策が起きた株式は一気に売られます。
下がった株を買い戻すのに、その企業に「みんなが同調できる未来」が魅力的に映る必要があります。
この魅力が、機関投資家のドレッシング買いと個人投資家の買戻しを誘起すると考えれます。
・ファンドの評価が上がるとETFの資産額が増えやすくなる
・決算期末や月末に行われることがあります。
時価総額が小さい
時価総額が小さければ、一つのファンドや個人投資による取引が株価に表れやすくなります。
そのため、時価総額が小さい株式の変動率は高く、上昇が表れやすい傾向があります。
考察のまとめ
次に、この論文の”着眼点”と”新しい知見”を加え1月効果を再定義します。
1月効果の再定義
近年では1月効果は表れなくなりました。
しかし、以下の点を考慮すれば、短期の上昇に加わることが出来る。もしくは、短期の上昇に惑わされなくなります。
それでは、解説していきます。
節税効果を考察
なぜ、1月効果は近年に表れにくくなったのでしょうか?
日本には無いルールで、米国で決められているルールがあります。それが、『Wash Sale Rule』です。
このルールがあるため、買戻しが1月よりも前にズレる要因の一つとなります。
正しい1月効果は?
1月効果は、月に絞られた考えを持つのではなく、節税対策のための売りと買戻しを期待した投資手法として考えるべきでしょう。
・IPO株などの時価総額が小さい企業(小型銘柄)
・小型銘柄で1年を通して上昇がない
節税対策の売りは、12月15日前後に起きやすいため、12月中旬に底になる事が多いです。
節税対策で売られた株が、あまりに安すぎる水準であると、短期的な上昇がみられます。この上昇についてはこちらの記事で解説しています。
特に、年末は市場全体の出来高が小さいため、少しの取引が株価を引っ張り上昇しやすくなります。
1月のモメンタムとバロメータ
ストック・トレーダーズ・アルマナックと言う、書籍をご存じでしょうか?
この書籍は米国市場に伝わる法則性の解説や、大統領選挙サイクルなど、画期的なタイミング投資戦略を普及させました。
こちらの書籍では、1月の取引が始まった「1ヶ月」「1週間」は、その年の株式市場の予兆になるという解説です。
詳細は書籍をご覧いただきたいですが、結論としては「1週間」も注目に値します。
1月効果の他にも、過去約55年のデータから様々な知見で米国市場の「法則性」を分析と解説していますので、株取引の実用書として使えます。
英語の記事となりますが、こちらでも同様にして1月がプラスリターンだった場合に2桁の上昇したことを解説しています。
まとめ
この1月効果はあくまで、経験に基づく法則性となります。
そのため、「ふ~ん、そんな現象もあるんだ」というスタンスで、とってもらえば良いかと思います。
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節税後に短期的な上昇が起きやすいです。これを、デッド・キャットバウンスと言われています。こちらの記事でデッド・キャットバウンスについて解説しています。
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