円高・円安のメリットは?
為替ヘッジの仕組みは?
最近のコンビニってめちゃくちゃ高くなりましたよね
実は、この物価高には “円安” が影響しています。
円安が物価高にどう繋がるの??
物価高と円安の関係には輸入製品が関係しています。日本の食料自給率が37%と低いため直接輸入に頼る食品の価格が上昇します。
そして、原油などのエネルギー輸入価格が上昇するため、配送費、プラスチック製品や電気代などの原価が上がることによる、製品価格やサービス価格の上昇となります。
日本は原材料が乏しいため、この物価高で得られる売上高は材料の供給する国へ渡すことになり、日本の労働者に還元されず、企業の利益上昇に繋がりません。
この物価高は実質賃金の低下と同じ意味を持ちますから、国内の消費意欲も減退し、国内内需を主力とする日本企業にとって大打撃となります。
でも、円安はデメリットだけじゃありません
今回の記事では、『円高・円安のメリットデメリット』と『為替ヘッジ』について解説します。
記事が、タメになったと思われたら、“SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
円安・円高ってなに?
「円安」と「円高」って何を基準に決めているのか?という素朴な疑問の答えは“比較する基準日の為替レートと比較”になります。
例えば、昨日1ドル130円である場合に、140円となれば昨日と比べて”円安”と言われ、110円であれば”円高”となります。
上がっているのになぜ”円安”なの?
円の高安の視点は『円の価値』で判断されます。円の価値がドルと比べて下がっているから円安と言います。
現在:コーラ 1$=110円
※円の価値が下がったので円安
“円高”と”円安”のメリット・デメリット
・海外資産を安く購入できる
・国内製品が安くなる
【円高のデメリット】
・海外資産価値が円換算で減少する
・輸出製品が海外で売りにくくなる
・海外資産価値が円換算で増加する
・輸出製品が海外で売りやすくなる
【円安のデメリット】
・海外資産に手を出しづらくなる
・原価が増加する
為替の変動要因ってなに?
様々な要因で為替は変動します
為替の変動は、「中央銀行の政策」や「機関投資家の売買」そして「実需」など、様々な要因で変動します。
為替の変動要因についてはこちらの記事で詳しく解説しています。>>為替の変動要因について
円高のメリット・デメリット
円高のメリットは、海外の製品やサービスが安くなるため、国内物価の低下が期待できます。
また、日本の投資家にとって海外株式、不動産などを安く買える点がメリットです。
マクロ的な視点で見ると、石油や天然ガスなどのエネルギー製品を安く購入できるため、日本を拠点とする企業の原価を押し下げることに繋がり、収益を上げやすくなります。
円高のデメリットは海外で稼いだ資産を円に換えると、目減りするところにあります。
売上高の減少分を価格に上乗せすると、海外で売れ行きが悪くなり業績悪化となり得ます。
円安のメリット・デメリット
円安のメリットは、輸出企業の価格競争力が上がり収益を上げやすくなります。
また、海外で稼いだ外貨を円に転換する時に大きくなります。
そのため、企業の海外売上高が増加していなくとも、円安となると、その為替の差益分だけ売上が増えることになり、業績を好感する投資家も現れるでしょう。
この他にも、日本に来る外国人観光客による”爆買い”が起きやすくなります。インバウンド需要が大きくなるのも特徴的です。
現在の日本は、10年以上続くデフレで海外物価に比べ安くなっているところに、「円安」が重なり、驚安状態となりますので、なおさらです。
繰り返しになりますが、円安最大のデメリットは、輸入製品の価格が上がることです。
資源が乏しい日本にとって、輸入製品の物価が上がることは消費者にとって痛い問題です。
この物価の上昇は直接的な輸入品から、石油などの原材料の上昇までにわたりますから、物価上昇に踏み切る企業が表れると次々と物価上昇となります。
個人投資家と為替
円安は消費者にとってデメリットの方が大きくなります。なぜなら、コスト増による物価高は賃金の上昇に直結しないからです。
しかも、この円安は長く続く可能性があります。そこには、企業の生き残り戦略が関係しています。
先述したように、グローバル企業は為替変動が利益の増減に直結します。そのため、複数の企業がリスクヘッジとして生産拠点を海外へ移したことが、これまで以上に円安が継続する可能性が高いです。
そうすることで、原価の調達から売り上げまでを全て外貨で行うことにより、為替の影響が業績悪化となりづらい仕組みを構築しました。
一度、生産拠点を移したら簡単に変更することはできないことや、わざわざコストを発生させてまで、円に換える必要がありません。
そのため、円高へ動く「実需」が減少に繋がり、以前より円安を継続する期間が長引きます。
円安の予防策はないの?
このデメリットの直接的な防衛策はありませんが、緩和する方法としては海外資産を築くことがあります。
個人投資家ができる円安対策
個人投資家が行える円安対策は以下の2点です。
円安のメリットである、円建てで見た海外資産は資産が増えていなくても上昇します。そのため、海外資産を所有することが円安対策に繋がります。
この対策は、資産の地域分散も兼ねますので、リスク管理として一石二鳥の対策となります。
しかし、この対策は大きく円安となった時に一括で行うと「円高」による資産減少という欠点も生じます。
円安対策の欠点
円高による資産の目減りを具体的に解説します。
為替レートが150円の際に、100万円で海外資産へ一括投資したと仮定します。すると、株価が下落しなくても、為替が平均回帰するだけで73万円に目減りしてしまいます。
この為替差損は▲26.5%となります。この下落に、海外資産の純粋な下落も相まって▲50%となる可能性は十分に考えられます。考慮すべき下落率について詳しくはこちらを参照ください>>海外資産の最大下落率
円安対策の穴を防ぐ手段の一つ
円安対策の失敗は一度に投資資金の全てを投資するという点です。
それを防ぐには、積立で外貨資産を購入して「外貨取得単価を下げる」ことが大切です。この投資手法は時間分散として用いられるリスク対策手法です。
上のチャートは直近5年の為替変動を表しています。
現在、150円程度まで円安が進行しましたが、たった5年間だけでも定期的にドル転を行なえば、平均取得単価が約120円となります。
つまり、定期的なドル転は為替変動による損失を抑えることができます。
為替ヘッジと為替コストについて
外貨の資産を購入すると、為替の違いから必ず為替リスクを生じます。リスクは変動率の事を示し、為替リスクとは為替変動を表しています。
為替ヘッジはこの為替リスクを極力減らすために用いられる手法のことです。
投資信託を円で買ってるから関係ないよね?
海外資産を購入する場合は関係あります
「全世界株式を投資信託で投資しているから為替は関係ない」と思っているとしたら、大きな誤解が生じてしまいます。
あなたが円で購入していても、支払った『円』が自動的に『ドル』へ両替されて、海外株式の購入資金へ充てられます。
つまり、投資信託で“全世界”や“米国”などの海外へ投資する方は、為替リスクを受けることになります。
為替ヘッジの仕組みについて
為替ヘッジは先物を活用して「為替スワップ」取引により為替変動を抑えます。
為替ヘッジの仕組みは、海外資産を購入するに必要なドル転と同じだけ、先物市場で円を買って外貨を売却する「反対売買」を行います。
これによって、為替の変動を打ち消す役目を果たしています。
私は『為替ヘッジ』付きの投信だから大丈夫♪
『為替ヘッジ』のコストはご存じでしょうか?
確かに為替ヘッジがされていると、投資時より”円高”に振れた時には安心です。
しかし、『為替ヘッジ』には費用が発生していることを忘れないでください。この費用を”ヘッジコスト”といいます。
ヘッジコストを簡単に言うと、為替リスクを緩和する保険料と言い換えることができます。
保険料(ヘッジコスト)はいくらなの?
ヘッジコストの算出方法
先述したように、為替ヘッジは先物市場で反対売買を行うことで実現させます。
この取引を深く説明すると、ドルを借入する金利(手数料)と円を貸出しする利息(収益)を生みますので、この差分のコストが発生します。
この保険料(ヘッジコスト)は、以下の式によって導き出されます。
米国短期金利 - 日本短期金利
※需給により短期金利差以上にコストが拡大することもある。〔1〕
〔1〕:為替ヘッジを詳しく知りたい方は、外部リンクとなりますがこちらから確認できます。三井住友アセットマネジメントリンク
現在のように米国が”利上げ”を行い日本が”低金利を維持”する状況が続けば、日米の金利差が開いていく一方なので、コストは増大してしまいます。
これから、更に日米の金利差が広がれば5%程度のコストになることも容易に想像できます。
たった5%のインパクトが資産形成に大きな影響を及ぼします。
インデックス投資の名著『敗者のゲーム』を読んだことのある方であれば、直観で分かると思います。
このコストは超長期投資にとって大きな足かせとなります。
たった1%のコストが生じただけで、利益が2/3失われます。
【まとめ】円の高安と為替ヘッジ
円安や円高の為替変動は様々な要因が複雑に絡み合い、それを正確に推測するのは難しい。
そのため、個々人が行える策は「海外資産」の購入となります。
しかしながら、この策は分散投資ができますが、円高時に資産が低減する可能性もあります。
円高の影響は為替リスクと言い換えることができます。
為替リスクを低減する良策としては、積立購入で為替のドルコスト平均取得が単純で効果的な手法となります。
為替ヘッジ商品へ手を出すと大きなコストを支払うことに繋がりますから、個人投資家としては「ヘッジ無し」商品を積立購入で為替リスクを低減しながら購入するのがベターで汎用的な策となります。
記事が、タメになったと思われたら、“SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
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