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歴史的暴落で為替はどう動いたのか「米国市場とドル円」

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米国市場が下落するとドル円はどうなる?

変動幅はどれくらいあるの?

FX界隈では、株式市場に「暴落が起きると円と米ドルが買われる」と言うのは一般常識です。

では、円と米ドルのどちらが多く買われるのだろうか

この記事では、歴史的な暴落時にドル円はどう動いたのかを振り返り、耐えるべき暴落率について考察します。

Check Point
  • 過去の暴落時の為替変動
  • ドル円の変動要因
  • 暴落時の平均的な変動率

ある程度の下がり幅が基準の一つとなります。

事前に暴落率を認識している場合、「暴落の覚悟」「暴落時の行動」を決めることができますので、知っているのと知らないのでは大きな差となります。

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暴落期の為替変動

「リーマンショック」「コロナショック」が起きた時のチャートを確認すると、為替変動に一定の類似点が見えてきます。

では早速、米国株暴落と為替の動きを確認しましょう。

リーマンショック時のドル円

加工 – 2

リーマンショックは、株価(2007.10)の天井を付ける前には「円安」傾向で、その後は徐々に「円高」へ進み2009.3に大底を付けてから、株式の回復中においても円高が進行しました。

\ドル円チャート(2006.7~2012)/
出典:tradingview
チャートの説明
・ロウソク足:S&P500
・水色:ドル円
リーマンショック時の「株と為替推移」
  • ~2007.10
    円安・株高

    リーマンショックの前の上昇局面

  • ~2008.9.12
    円高・株安

    117.38円からリーマンショック直前には107.88円へと円安が進行

  • ~2008.12.18
    円高進行

    リーマン・ブラザーズが破綻してからの3ヶ月で約19%円高に進む

  • ~2009.3
    円安・株安「逆相関」

    株が大底を付ける時に、一時的に為替が逆相関して「円安」へ急騰

  • ~2011.10
    逆相関で円高の最高値へ

    株価が上昇する傍ら、逆相関で76.1円へ円高が進行

\ドル円推移(2006.7~2012)/
期間 株式 為替 出来事
2006~2007.7 円安 リーマンショック前
2007.7~2007.10 天井 円高 株式天井まで
2007.10~2008.9 上下 リーマンショック時
2008.9~2008.12 円高 3ヶ月で約19%の円高
2008.12~2009.3 大底 円安 大底を迎える前に円安が急伸
2009.3~2011.10 円高 徐々に円高が進行した

株式が大底を付ける前に円安が急伸した背景に、FRBによる政策金利が1%から0~0.25%の異例となる水準へ引き下げた(2008.12)ことがあります。

米国株式が上昇ているなか、2011.3に東日本大震災が起き若干円安に振れますが、その後に円高が進行しました。

  • 震災重なり円高傾向が続く

コロナショック時のドル円

コロナショックは、株価(2020.2)の天井を付ける前には「円安」が進みました。

その後、株式の下落と共に為替は「円高」へ急落し、金融政策の転換により一時「円安」へ転換するも、株式が回復するにしたがって円高が進行しました。

\ドル円チャート(2019.9~2020.10)/
出典:tradingview
チャートの説明
・ロウソク足:S&P500
・水色:ドル円
コロナショック時の「株と為替推移」
  • ~2020.2
    円安・株高

    コロナショックの前の上昇局面

  • ~2020.3
    円高・株安

    株式市場のサーキットブレーカーが連日動作するなか、2週間で112円から102円へ下落

  • ~2020.3.23
    円安急騰

    株が大底を付ける時に、一時的に為替が逆相関して102円から111円の「円安」へ急騰

  • ~2020.10
    円高・株高「逆相関」

    株価が上昇する傍ら、逆相関で104円台へ円高が進行しました。

コロナショックでは、サーキットブレーカーが度々動作しました。これの背景にはHTF取引〔2〕が行われていことが要因と考えられています。

〔2〕:High Frequency Tradingの事で、高頻度取引と言われます。0.001秒単位で取引を数千回行い利益を出す仕組み

コロナショック時はリーマンショック時に比べFRBの金融政策が迅速に決定されました。

2度の緊急のFOMCを開き政策金利を0.00-0.25%へ引き下げました。

1度目(3/3):0.5%の引き下げ(1.00-1.25%)
2度目(3/15):1.0%の引き下げ(0.00-0.25%)

FRBの動きが早かったため、リーマンショックより円高へ進む幅も9%程度と小さく、その期間も3週間程度です。

ぜんきち
ぜんきち

リーマンショック時はこちらです。

リーマンショック時の円高
・円高幅:約19%
・期間:3ヶ月
\ドル円推移(2019.9~2020.10)/
期間 株式 為替 出来事
2019~2020.2 円安 コロナショック前
2020.2~2.20 天井 円高 株式天井まで
2.20~3.15 円高 FRB政策決定前
3.15~3.23 大底 円安 大底を迎える前に円安が急伸
3.23~2020.10 円高 徐々に円高が進行

コロナショックでパニックが起きている時の為替騰落は凄まじく、1日で3円も円高へ急落したと思ったら、翌日には3円分回復する動きがありました。

俯瞰してコロナショックを見ると、為替は短期間で激しい騰落がありましたが、期間が短いため変動幅が小さいです。

  • 短期間で為替変動

2つの暴落の類似点と相違点

2つの暴落相場を紐解くと、株価変動と為替に一定の類似点があることがわかります。

株式が天井から暴落時には「円高」が進み、FRBの金融緩和一気に「円安」へ回復。

その後、株式が上昇するに従い円高が進む傾向があります。

暴落時の為替変動
  • 株価下落時は「円高」となる傾向あり
  • FRBの政策転換で急速に「円安」に動く
  • 約10%円安が進むと、株価上昇に合わせ「円高」へ

2つのチャートの相違点は、コロナショック後の円高は10ヶ月程度しか持たなかったことです。

これは、株式の下落期間が短いことや2011年に震災が影響していると考えれます。

  • 3つの類似点がある

為替で見る大底のサイン

2つの暴落相場どちらとも、株価の大底時に「円安」が天井となっていることが確認できます。

大底のサイン?

株価の大底は誰にもわかりませんが、次回の暴落時に一定程度のサインに使えそうです。

為替と株価の大底
  • FRBの政策緩和で「円安」が約10%進む
  • 為替の変動が停滞もしくは円高傾向
  • 大半のアナリストが景気先行きに悲観
ぜんきち
ぜんきち

大底だとしても、全額投資は危険です

  • 為替から大底が予想できる

ドル円の変動要因

為替の変動には「実需」「投機」があります。

要因は概ね以下の4つに分類できます。

為替の変動要因
経常取引
 海外収支が発生する取引
資本取引
 海外への投資
投機取引
 FXなどの売買
為替介入
 政府による取引

「実需」は規則性があり予想を立てることが可能です。

しかし、その価格差を狙った「投機筋」が動き、更に「政府」まで介入しますので為替の変動は複雑化します。

こちらの記事で、変動要因に要因や今後のドル円について考察しています>>為替変動要因について

ヘッジすれば良いのでは?

ぜんきち
ぜんきち

ヘッジには相応のコストが発生します

不確実しかない投資の世界で確定しているコストは極力削減しなければなりません。

為替ヘッジのコストは決して無視できない費用となります。為替ヘッジについて詳しくはこちらで解説しています>>>為替ヘッジと費用

  • 為替変動は4つの関係から複雑化する

暴落時の為替変動について

株式市場が暴落した時の為替の騰落は、「投機筋」によるものです。

ぜんきち
ぜんきち

主観となります

投機筋は、米国株が下落しだすとリスク資産からマネーを撤退させ、米経済の冷え込みと直接関係の無い「円」へ退避し、FRBの金融緩和と共に米ドルへ戻す取引が行われているように見えます。

投機筋の動き
・株価下落期:リスク資産から撤退
・株価暴落期:金融緩和の憶測から円買い
・株価ボトム:円から米ドルへ移行
・株価回復期:リスク資産を買戻し
  • 憶測では投機筋の動きはパターン化

最悪時の計算

投資は不確実性があります。

しかし、過去の株価と為替を確認すると、暴落と「円高」が同時に来る可能性が高いです。

過去の「米国暴落率」「円高の変動幅」を考慮することで、「暴落の覚悟」はできます。

円高への変化率

前述したリーマンショックとコロナショックから円高への変化率を計算します。

為替の変動率
<リーマンショック時>
・2008.9.12の107.88から87.27へ変化
・下落変動率 約19%
<コロナショック時>
・2020.2.20の112.10から102.36へ変化
・下落変動率 約8.7%

二つの変動率の平均は13.8%です。

この変動が歴史的暴落と同時に起こったと想定できます。

  • 憶測では投機筋の動きはパターン化

歴史的暴落期の米国資産下落率

先述した、為替変動率13.8%を想定すると以下のような暴落となります。

暴落と円高続伸(13.8%)
事柄 価格変動 為替変動
暴落率
(円換算)
世界恐慌 86% 13.8% 87.93%
FRBの利上げ
(世界恐慌期間内)
53% 13.8% 59.49%
第二次世界大戦終戦
(世界恐慌期間内)
27% 13.8% 37.07%
キューバ危機 28% 13.8% 37.94%
ベトナム戦争 33% 13.8% 42.25%
第一次オイルショック 46% 13.8% 53.45%
ブラックマンデー 34% 13.8% 43.11%
ITバブル崩壊 49% 13.8% 56.04%
リーマンショック 56% 13.8% 62.07%
VIXショック 20% 13.8% 31.04%
コロナショック 34% 13.8% 43.11%

こちらの暴落は、円換算ベースの含み損となります。

超長期投資家であれば、これだけの暴落を受け入れる胆力が必要です。

これに耐えられない時にはリスク許容度の見直しが必要です。

リスク許容度について詳しくはこちらで解説しています。>>>リスク許容度の見直し

もっと超長期的なドル円が気になる

ぜんきち
ぜんきち

こちらの記事で解説しています

過去90年のドル円チャートや過去30年の平均レートを記載している記事はこちらです>>>超長期の為替推移

  • 株安円高で40%~60%の含み損

【まとめ】暴落時の為替変動

2つの株価暴落を眺めると、一定のパターンがわかります。

暴落時のドル円パターン
・株価下落期:リスク資産から撤退
・株価暴落期:金融緩和の憶測から円買い
・株価ボトム:円から米ドルへ移行
・株価回復期:リスク資産を買戻し

株式などのリスク資産から流出したお金は「債券」などの安全資産に流れ、その一つに通貨の円があります。

円へは、”ドルの下落”と”金融緩和”を見越して退避され、約14%円高に動きます。

金融緩和決定後は、米ドルへお金が流入し、10%程度円安となります。

暴落と円高による資産の含み損(円換算)

2つの暴落から円高へ平均して13.8%進みます。

これを歴史的暴落へ加えると以下となります。

暴落と円高続伸(13.8%)
事柄 価格変動 為替変動
暴落率
(円換算)
FRBの利上げ
(世界恐慌期間内)
53% 13.8% 59.49%
第二次世界大戦終戦
(世界恐慌期間内)
27% 13.8% 37.07%
キューバ危機 28% 13.8% 37.94%
ベトナム戦争 33% 13.8% 42.25%
第一次オイルショック 46% 13.8% 53.45%
ITバブル崩壊 49% 13.8% 56.04%
リーマンショック 56% 13.8% 62.07%
VIXショック 20% 13.8% 31.04%
コロナショック 34% 13.8% 43.11%

円換算での資産は40%から60%の一時的な下落となります。

海外資産へお金を投じる時の下落の目安として覚悟しておきたい変動率となります。

為替リスクの考え方についてはこちらの記事で解説してます。>>為替リスクの考え方

  • 株価暴落時には投機筋による為替変動が大きい
  • 為替変動のパターンは繰り返されている
  • 暴落時には約13%の円高が起きる

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米国株の歴史的暴落と、個人投資家が覚悟すべき2つの暴落の動きについてこちらの記事で解説しています>>>暴落の覚悟

為替リスクは日本の投資家が必ず負うリスクです。このリスクの「軽減策」について解説しました。>>為替リスクの軽減策

資産運用を行うためには自身のリスク許容度を正しく把握する必要があります。このリスク許容度5つのチェック項目について解説しました。>>リスク許容度

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