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4%ルール「定額法」と「定率法」の注意点と解決策

投資手法

定額法と定率法の大きな違いは?
注意事項はあるの?

FIREをするために必要となる資産は支出額の25倍と言われています。

25倍となる根拠
トリニティスタディで資産を4%づつ取崩した場合でも、資産が30年間引き出し続けたことから、4%の逆算となる25倍が目安とされています。

このFIREとなるために、取り崩し金額は、資産の4%が主流となります。

しかし、この4%はどの時点で算出した4%なのか?

取り崩すときに計算するのか?それとも、引退時の資産で決定する金額なのか?

どっちなの?

ぜんきち
ぜんきち

正解は後者です

しかし、前者にあるような、取り崩すときに4%を計算する手法も暴落時に有効な手法となります。

この記事では、4%ルールの「定額法」「定率法」それぞれの強みと弱みについて解説します。

記事を読むことで、老後の資産を安心して取り崩すことができるようになりますので最後までご覧ください。

記事のまとめ
  • 「定率法」は毎年算出「定額法」は引退時算出
  • 資産を全て使い切りる場合は「定額法」
  • 暴落時の取り崩し停止やNISA口座で成功率UP

もし、参考になったと思われたら、友人や親戚に “SNS”“リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。

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2つの4%ルール 「定額法」と「定率法」について

米国の方が日本より株式投資の歴史が長く、資産の取崩し方法が古くから研究されています。

その中で、資産を保つ取崩しラインは4%程度となっています。

ただし、この4%ルールには「定額法」「定率法」の2つのルールが存在します。

そのため、どちらのことを指しているのか念頭に置く必要があります。

定額法と定率法のイメージ

ん?定率法がギザギザで難しそう

ぜんきち
ぜんきち

仕組みは至って単純です

定率法は当該年の資産残高に対して4%引き出す方法です。この方法は算出する手間が発生しますが、資産が枯渇することがありません。

定率法のイメージ
【引退後3,000万円】
・1年目:3,000万円✖4%=120万円
・2年目:資産残額×4%=〇百万円
・3年目:資産残額×4%=〇百万円

定額法引退時の取り崩し予定資産を基に毎年の引出額を決定します。計算方法が単純で万人受けしやすい方法です。

定額法のイメージ
【引退時3,000万円】
・1年目:3,000万円✖4%=120万円
・2年目:同じ
・3年目:同じ

2つの深い解説に入る前に、「4%ルール」の条件をサックっと確認しておきましょう。

4%ルールの前提条件と概念

前提条件
・株式は米国株式インデックス
・債券は中期米国債もしくは高格付けの社債
・資産額の変動を抑えるため債券を組み入れる

4%ルールは1998年にトリニティ大学の3人の教授によって作成された論文「持続可能な引出率の選択」で有名になりました。

リスク資産である株式(S&P500)をある程度、保有し資産を取り崩すと、30年間資産が枯渇しない可能性が高かったのが4%でした。

ぜんきち
ぜんきち

米国人に向けての論文です

日本の個人投資家が注意したいのは、この論文が為替リスクがない米国人向けなところ、無リスク資産が社債を採用しているところです。

65歳の30年後では、95歳かぁ

  • 概ね30年間以上もたせれば成功

【定額法】の4%ルール

定額法は引退時の資産残高に対する4%を毎年取り崩す手法です。

この4%ルールが始めに登場したのは1990年代となります。

4%ルール基の論文
【William P.Bengen氏の論文】
・1994年に公表(検証期間:1926年-1976年)
【トリニティ大学の教授3名による論文】
・1998年に公表(検証期間:1926年-1995年)
\トリニティスタディの論文/
出典:Trinity study
表の解説
・株式:S&P500(例えばVOOなど)
・債券:投資適格社債(例えばLQDなど)
・期間:1926-1995
・(CPI)消費者物価指数による取崩額の増加を考慮

この論文の成功率は、30年目の取り崩しで1円でも残れば成功となります。

取崩率4%でみると、株式を50%以上とした場合に1990年代において95%以上の成功でした。

90年代かぁ..昔だね…

これまでの論文には、”ITバブル””リーマンショック”が入っていません。

そのため、量的緩和が早急に行われる相場環境である、現在にあっているのか心配です。

ぜんきち
ぜんきち

最新の市場で検証しても成功してます

今ではアップデート版として、いくつかの論文が掲載されていますが、結果はどれも4%ルールの成功率が上がるという結果になりました。

近年の定額法の参照元
【Early Retirement Now】
期 間:1871-2016
投資先:S&P500/米10年債
早期退職を見込んだ30年~60年の試算

【Updating the trinity Study】
期 間:1926-2014
投資先:S&P500/中期国債
中期国債の利回りが低下したケースも記載

【Forbes(フォーブス)】
期 間:1926-2017
投資先:S&P500/中期国債
年初引出し、債券を中期国債へ

【Thepoor Swiss.com】
期 間:1871-2024
投資先:米国株/債券
チャートによる最新のデータ

定額法は、単純であり自分が労働してためた資産を有効に使うのに最適な取崩し方法です。

働きすぎを考えさせられる良書、「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」の考えに沿った手法となります。

この本で伝えたいことを端的に言うと

使わないお金を稼ぐ時間がもったいなくねぇか?

こちらの書籍は目標金額を算出していない方や、資産形成のゴールが見えてきた方に刺さる内容となっています。

こんな方に向いています
・人生の終末までに資産を使い切りたい方
・資金額が潤沢で、取り崩し額を決めていない方
・一定の期間だけ引出額を固定したい方(60歳~65歳など)
  • 4%ルールは現在でも使用可能

定額法の成功確率【図解】

 なんで最近のデータは成功率があがってるの?

ぜんきち
ぜんきち

検証データに違いがあります

「最近のデータ」と「過去のトリニティスタディ」の違いがあります。

それは債券を中期国債へシフトした点です。(トリニティスタディは社債)

最近のデータが高い成功率を誇る理由は、社債よりも変動率が比較的に小さい中期国債へ切り替えたことが要因となっています。

\リーマンショックを含んだ試算/
出典:Updating the trinity Study
表の解説
・投資対象:株式S&P500/中期国債
・検証期間:1926-2014
・消費者物価指数(CPI)による引出額の増加を考慮

上の画像は、トリニティスタディのアップデート版となります。

1990年代のデータを扱う、トリニティスタディでは「株式75:債券25」の4%ルールが最も高い成功率となっておりました。

アップデート版をトリニティスタディと同じように30年間で取崩率4%で見た場合、「株式50:債券50」カウチポテトポートフォリオ成功率100%という驚きの結果でした。

\早期退職を見込んだ試算/
出典:Early Retirement Now
表の解説
・投資対象:株式S&P500/中期国債
・検証期間:1871-2016
・消費者物価指数(CPI)による取り崩し額の増加を考慮

上の画像は早期リタイヤを想定して、60年の成功率を記載しています。

試算結果を見ると、株式比率を50%以上に高め、取崩率を3%にすると成功率が上がります。

いっぱい表があって混乱してきた

ぜんきち
ぜんきち

一旦、まとめます

\これまでの4%ルールの複合/
株式比率 年数 3% 4% 5% 6% 7%
株式
100%
15年 100 100 100 89 80
20年 100 100 91 81 71
25年 100 98 82 71 62
30年 100 97 77 65 53
35年 100 93 76 56 49
40年 100 93 76 52 36
50年 100 90 73
60年 100 89 70
株式
75%
15年 100 100 100 97 83
20年 100 100 94 80 69
25年 100 100 83 68 57
30年 100 98 77 57 45
35年 100 93 67 53 35
40年 100 92 64 42 30
50年 100 88 62
60年 100 85 58
株式
50%
15年 100 100 100 100 84
20年 100 100 99 79 61
25年 100 100 85 58 42
30年 100 100 68 43 22
35年 100 96 56 31 4
40年 100 86 42 16 0
50年 100 74 41
60年 100 65 36

上の画像は2016年までの検証結果をまとめた表です。

白い網掛けの部分は、引退時から定額で取り崩してもリターンが大きくなる可能性が高いラインです。

取崩率が3%であれば、成功する可能性が高いですし、

取崩率が4%以上となると資産を延命する期間株式の比率に注意が必要となります。

引退後の成功率を上げるには、株式比率は50%~75%でかつ、取崩率が3%から4%とすることが必要不可欠となります。

資産をなるべく長く持続させるコツについては最後に記述しています。

  • 取崩率3~4%株式比率50%以上

定額法のメリット

定額法のメリット
  • 人生の終末までに資産額を使いきれる
  • 取り崩し額が分かりやすい
  • 証券会社で定期自動売却サービスがある

お金は墓場まで持っていけないと言いますが、この方法であれば最後まで使い切ることができます。

「生きている時に使いきれる分だけ稼ぐ」という考え方は、余分に稼ぐような働き方を防ぐので、浮いた若い頃の時間を自分が好きなことに充てることができます。

  • 稼いだお金を上手に使い切れる

定額法のデメリット

定額法のデメリット
  • 暴落時に資産額が大きく減る
  • 資産が枯渇する可能性がある

暴落時に資産を定額で取り崩しを行うと、資産額が想定以上に減るおそれがあります。

失敗の多くが、取り崩しを始めた頃に、思わぬ世界恐慌に巻き込まれ、20年未満で失敗となるケースです。

ぜんきち
ぜんきち

詳細は後述します

次に、「定率法」の4%ルールについて解説します。

  • 長い不況に突入すると銀行預金に負ける

【定率法】4%ルール

定率法はその年の資産残高に対する4%を取り崩す手法です。

仮に、資産増加がなくても、理論的に資産額が枯渇することはありません。

S&P500ができた当初から現在まで、定率法による取り崩しで資産が0円になったことはありません。

定率法の理論と実践


定率法は、基本的に資産が毎年4%以上増加することを想定しています。

つまり、増加分を取り崩しても、元々の資産は減ることがないという理論です。

\資産運用で使った分増えるイメージ/

それぞれの資産ごとに、リターンを考えると株式は年平均で約10.7%〔2〕の上昇し、米総合債券〔3〕は配当だけの平均利回りで約3.11%あります。

〔2〕米国株式指数であるS&P500の設定された1957年から現在までの利回りは約10.7%となります。
〔3〕米国総合債であるETFのAGGで2004~2022の配当利回りで算出(レンジ1.76%~4.91%)

例えば、トリニティ・スタディで提唱されていた、50:50のカウチポテトポートフォリオで利回りを算出すると約6.91%となります。

4%以上取り崩せそうじゃん

ぜんきち
ぜんきち

実はインフレを加味して取崩しています

インフレ分を2%として考慮すると、6%の取り崩しが必要になります。

この場合、名目では6%の取り崩しを行うこととなり、インフレを加味した実質ベースで、4%の取り崩しが成立しています

具体的な例
・1年目:3,000万円✕4%=120万円
・2年目(下落):2,500万円✕4%=100万円
・3年目(上昇):3,200万円✕4%=128万円

ちなみに、この「定率法」は投資の名著「ウォール街のランダムウォーカー」に掲載された方法です。

ウォール街のランダムウォーカーについてはこちらの記事で解説しています。

  • インフレ率を加味して取り崩しが可能

4%ルール定率法のメリット

定率法のメリット
  • 資産額が減りにくい
  • 超長期に資産を残せる
  • 資産を枯渇させない安心感

定率法の最大のメリット「引退後の資産が枯渇しないこと」です。

株式が下落したとしても、減った資産額に対して、4%取り崩します

そのため、理論的に資産が「0」になることはありません。

定率法であれば、30年以上資産を保つという目的が必ず実現します。

  • 老後に枯渇しないことは大きな安心

4%ルール定率法のデメリット

定率法のデメリット
  • 引出額が大きく変動
  • 暴落時で取り崩し額が縮小が継続する
  • 対応する証券会社が少ない

定率法の最大のデメリットは一時の暴落時に取り崩し額が減少して、それが続いてしまう可能性が高いということです。

具体的な取り崩し例
・1年目:3,000万円✕4%=120万円
・2年目(下落):2,300万円✕4%=92万円
・3年目(下落):1,770万円✕4%=70万円
ぜんきち
ぜんきち

タイミングが悪いと想定から大きく外れます

3,000万円の資産から、毎年120万円程度を取り崩そうと計画していたとします。

タイミングが悪く、取り崩しを始めてから20%近い下落が2年続いたとします。

すると、資産が約1,770万円(△1,230万円)になります。

この資産を元々の資産額に戻すためには、下落した+40%ではなく約70%のリターンが必要となります。

1年に50%以上の上昇は、米国史上2度しかありませんでした。

S&P500の高リターン
・1933年:54.0%
・1954年:52.6%
※配当利回り込み

その一方、暴落は大きく、損失は短期間で大きく下落し、記憶に残りやすいです。

\米国株式指数の暴落の歴史
最低値までの期間 下落率  
1929年8月~1932年6月 -86% 世界恐慌
1937年2月~1938年3月 -53% FRBの利上げ
1946年5月~1948年2月 -27% 第二次世界大戦終了後
1961年12月~1962年6月 -28% キューバ危機
1968年11月~1970年6月 -33% ベトナム戦争
1972年12月~1974年9月 -46% 第一次オイルショック
1987年8月~1987年11月 -34% ブラックマンデー
2000年3月~2002年10月 -49% ITバブル崩壊
2007年10月~2009年3月 -56% リーマンショック
2020年2月~2020年3月 -34% コロナショック

元本を一年で元に戻そうとすると、一気に難易度が上がります。

  • 引退初期の暴落に注意

受け取り額の増減が激しい

定率法で取り崩しを行うと、将来の引出額が大きく増減してしまうのもデメリットとなります。

史上最も最低の引出額となったのは、大恐慌時代です。(1929年-1932年)

引退の翌年から暴落が続くと、想定の3分の1の引出額となりました。

下の画像は1929年から20年の定率法による引出額の推移を参照ください。

\S&P500のリターン(最悪期)
チャートの説明
・資産:S&P500 100%
・引退時:3,000万円
※インフレ調整なし
※手数料、税金の考慮なし
西暦 資産額
(万円)
引出額
(万円)
資産残額
(万円)
1929 3000 120 2880
1930 2638 106 2533
1931 1902 76 1826
1932 1035 41 994
1933 912 36 876
1934 1349 54 1295
1935 1277 51 1226
1936 1810 72 1738
1937 2327 93 2234
1938 1452 58 1394
1939 1828 73 1754
1940 1747 70 1678
1941 1513 61 1453
1942 1284 51 1233
1943 1483 59 1424
1944 1792 72 1721
1945 2061 82 1979
1946 2699 108 2591
1947 2381 95 2286
1948 2416 97 2320

引退した翌年から数年にわたり下落が続くと、想定した引出額の△70%(36万円)となる可能性があります。

そのため、この資金を生活資金とするには、変動が激し過ぎて上手くいきません。

そのため、生活に潤いを与える「遊びのお金」として充てるのが良い方法です。

宵越しの金は持たねぇぜ!的な

株式50%でのシミュレーションも見たい方TwitterからDMください。要望が多ければ記事にします。

  • 過去に70%の減少が起きた

定率法のまとめと選択例

引退初期にお金を沢山使用したい方や人生最後の時にお金を残したい方に向いています。

例えば、65歳で引退したといっても、まだまだ体力がある方が多いです。

そのため、セカンドライフ初期には結構お金がかかります。

そんな時に、定率法は引退初期に大きな資産を取り崩しますから相性が良いです。

また、取り崩した後の資産額に対して、次の取崩額を計算しますから、人生の終末まで資産を残せる可能性が極めて高いです。

  • セカンドライフ初期の支出や最後まで資産を保つ方向き

4%ルールの注意点

前述しましたが、4%ルールは海外資産である米国株により検証されており、その検証には国内の課税以外に、外国で課税されます。

考慮すべきコストは以下の4点です。

注意すべき事
  • 経費率(信託報酬)
  • 譲渡税(約20%)
  • 為替コスト
  • インフレ率

経費と譲渡税

4%ルールには、売買やファンドへの報酬のようなコストが考慮されていません

実は、利益が無くても株式や債券を売却した時に、証券会社に払う手数料が発生します。

その他にも、売却時に利益が出ると、その利益分から約20%の税金が発生します。

\売却時の課税イメージ/
取引時のコスト
【必ず発生するもの】
・証券会社への手数料
【利益が出ると発生するもの】
・譲渡益20.315%
(所得税15%、住民税5%、復興税0.315%)
※復興税は2037年末まで
具体例
米国株120万円分の取り崩し
(米国株S&P500、簿価20万円)


・手数料:0.495%
 120✖(1-0.495%)=119.4万円
・119.4-(100✖20.315%)=95.1万円
※手数料はSBI証券の手数料
  • 利益がなくてもコスト発生

為替リスクとインフレ率

4%ルールはいずれも米国がベースとなっています

そのため、日本人が4%ルールを使おうとすると、為替変動のリスクが生じます。

注意
投資信託で海外資産へ円建てで投資するのも”為替ヘッジあり”ではない限り、為替変動リスクが生じます(為替ヘッジありの場合でも、ヘッジコストとして為替リスクが間接的に生じます)
\ドル円の長期チャート/

為替変動を正確に予測するのは困難を極めます。

ただ、投資によって為替リスクを軽減することが可能。

年金による円での資産を享受できますので、ある程度ドルの「じぶん年金」があった方が通貨分散効果が得られ良い効果があります。

為替についてはこちらの記事を参照ください>>『為替リスク』の”軽減策”と”考え方”

  • ドル資産で通貨分散

資産を長持ちさせるための秘訣

トリニティ・スタディで株式50%、引出率を4%とすると、失敗する確率が20人中1人と安心できる数字ではありません。

ここでは、定額法による4%ルールの失敗を防ぐ策について解説します。

失敗したくない…

ぜんきち
ぜんきち

成功の秘訣は3つあります

成功の秘訣
  • 株式の暴落に備える
  • 株式比率を高める
  • リバランスを適宜行う

株式の暴落に備える

株式の暴落に備えるために、3年分の現金を持つことが必要です。

現金を持つって元も子もない…

ぜんきち
ぜんきち

暴落時に引き出さない余裕が必要です

暴落時に資産を売ることは許されません

これは、積立投資の鉄則ですが、引退後も同じ理論です。

また、3年分としたのには理由があります。

\S&P500の下落期間/
出典:yahoo finance

約100年前を振り返ると、米国株指数が低迷を続けたのが3~4年です。

この期間の内、2桁の下落したのが2年間となります。

つまり、多少ゆとりを持たせた、3年間耐える現金を持って置くのが資産を長引かせる鉄則となります。

3年分も現金は無いよ…

ぜんきち
ぜんきち

そんな時はお金を稼ぐスキルを身につけましょう

実は現金がなくとも、働きに行ける「スキルがある」方や「自営業」で培った儲け方を知っている方であれば、現金を生み出すことができます。

今はそうでなくとも、副業などで稼ぐ力を身につけておくのは、引退後にあなたの資産を守るクッションとなります。

  • お金を稼ぐスキルを身につける

資産の取り崩し率を減少させる

貯金や副業以外の手はないの?

ぜんきち
ぜんきち

引出率を減らすのも妙案です

取り崩し率を4%から3%へと1%減少させるだけで、成功率が100%に上がります。

そのため、暴落時には取り崩しを1%下げると良いでしょう。

\これまでの4%ルールの複合/
株式比率 年数 3% 4% 5% 6% 7%
株式
100%
15年 100 100 100 89 80
20年 100 100 91 81 71
25年 100 98 82 71 62
30年 100 97 77 65 53
35年 100 93 76 56 49
40年 100 93 76 52 36
50年 100 90 73
60年 100 89 70
株式
75%
15年 100 100 100 97 83
20年 100 100 94 80 69
25年 100 100 83 68 57
30年 100 98 77 57 45
35年 100 93 67 53 35
40年 100 92 64 42 30
50年 100 88 62
60年 100 85 58
株式
50%
15年 100 100 100 100 84
20年 100 100 99 79 61
25年 100 100 85 58 42
30年 100 100 68 43 22
35年 100 96 56 31 4
40年 100 86 42 16 0
50年 100 74 41
60年 100 65 36

定率法による予防

前述した、取り崩し額を下げると同じ考えになりますが、一時的に定率法による取り崩しを採用することも、暴落への備えとなります。

下の画像は恐慌時代のシミュレーションとなります。

定額法で取り崩すと資産が20年でさえ、保つことができていません

ぜんきち
ぜんきち

現金を取り崩すと25年ですから、元本割れです

\大恐慌の時のS&P500チャート/
チャートの説明
・資産:S&P500 100%
・引退時:3,000万円
・インフレ調整なし
・手数料、税金の考慮なし
西暦 資産額
(万円)
引出額
(万円)
資産残額
(万円)
1929 3000 120 2880
1930 2638 106 2533
1931 1902 76 1826
1932 1035 41 994
1933 912 36 876
1934 1349 54 1295
1935 1277 51 1226
1936 1810 72 1738
1937 2327 93 2234
1938 1452 58 1394
1939 1828 73 1754
1940 1747 70 1678
1941 1513 61 1453
1942 1284 51 1233
1943 1483 59 1424
1944 1792 72 1721
1945 2061 82 1979
1946 2699 108 2591
1947 2381 95 2286
1948 2416 97 2320

上の画像では、定額法で資産の取り崩しを行うと、19年で資産が尽きてしまいます

しかし、定率法であれば、引出額が減るものの、大恐慌後の3年後(1951年)に元本まで資産が回復しています。

定率法が良さそうに思えてきた

ぜんきち
ぜんきち

上昇相場でも定率法は有効です

定率法は、株価が上昇すると、想定以上にお金を引き出すことがあります。

実は、そのような時に無理してお金を使う必要はありません

この時の余剰資金を、暴落時の買い増しに充てるための資金として、使わず持って置くのも良い作戦です。

先述した大恐慌時代に、買い増しを行っていればもっと早く回復します

  • 歴史上、定率法で失敗したことがない

取り崩し時のリバランス

取り崩し時にリバランス?

ぜんきち
ぜんきち

リスクを大きく取らないような作戦です

資産を長持ちさせるためには、始めに予定していた“株”と”債券”の比率が極端に偏らないようにする必要があります。

リバランス時は、どちらかの資産価値が多い側を取り崩すのがベストです。

\リバランスの例/

取り崩しを工夫するだけで、引退時に想定リスク以上の資産の減少を防止することができます。

POINT
株式の比率を50%以上に保つのがコツです。(成功確率の上昇はこちらの画像を参照ください)

過去の動きを見ると、債券と株は多少の“負の相関性”があります。>>債券と株価の相関について

負の相関とは:株が下がった時に債権が高くなり、逆に債権が高いと株が安い傾向があることが分かります。

この関係を利用して、株が高い時に株を売る割合を大きくして、債券を売る量を減らすと上手くリバランスができます。

\リバランスの例/

下落して、割安となった資産を買い増しするので、リターンが上昇する可能性が高くなります。

  • リバランスでリスクを大きくしない

株式比率を高める

これまでに紹介した、定額法の取り崩しには「大きな盲点があります」それは、債券の利回りが過去データということです。

過去のデータじゃだめなの?

ぜんきち
ぜんきち

現在と比べ、数%利回りが高いです

盲点は、過去の債券利回りが現在と則していないからです。

1926年から1995年の利回り
・社債:5から6%
・中期国債:約5%
1970年代後半から1980年代初頭では一時10%を超える時期もあった。

トリニティスタディは社債でシミュレーションされており、5%から6%であり、現在と比べて大きな利回りによる結果でした。

でも未来はわからないよね?

ぜんきち
ぜんきち

政策金利が一つの判断材料となります

下のチャートは政策金利のリアルタイムチャートです。

\米国の政策金利/

1980年代は政策金利が5%~15%で、近年のようなゼロ金利が頻繁に行われるような時代ではありませんでした。

2000年代の政策金利は0%~5%程度であり、高くても5.25%が上限となっています。

その背景には、景気後退時の機動的な利下げ世界的な資金余剰があります。

この資金余剰は、米国の財政赤字の拡大が世界の余剰資金を米国債へ投資させる構造を生み出していることと関連しています。

\米政府 債務とGDP比/

毎年、債務が膨れ上がっているねぇ

ぜんきち
ぜんきち

この構造が変わるのは至難の業です

中期国債の利回りを下げた画像が、下の表になります。

\中期国債の利回りが悪化したシミュレーション/
株式比率 年数 3% 4% 5% 6% 7%
株式
100%

15年 99 96 91 82 70
20年 96 89 78 65 51
25年 92 82 68 53 40
30年 88 75 60 46 33
35年 85 70 55 41 29
40年 82 67 51 37 26
株式
75%

15年 100 98 93 83 68
20年 98 91 78 60 43
25年 94 81 63 45 29
30年 89 73 53 35 21
35年 85 66 46 29 16
40年 81 61 41 25 14
株式
50%

15年 100 99 95 82 61
20年 99 91 73 48 27
25年 95 78 52 28 12
30年 88 64 37 17 7
35年 81 54 28 12 4
40年 74 46 22 9 3

株式
25%

15年 100 100 94 73 43
20年 99 88 58 26 8
25年 92 63 27 8 2
30年 79 40 13 3 1
35年 65 26 7 1 0
40年 53 18 4 1 0

つまり、参考にすべきは中期国債が2~3%のケースです。

低金利が更に続いた場合でも、4%ルールに成功させるためには、株式の比率を上げる必要があります。

  • 低利回り期では、株式75%~100%

4%ルールの引き出し 対応証券一覧

\証券会社毎の売却(引き出し)対応/
  楽天 SBI マネックス 松井 GMOクリック 三菱UFJeスマート
定額自動売却 × × × ×
定率自動売却 ×※ × × × ×
SBI証券の定率自動売却
2025年に実装予定

自動売却は楽天証券が優れており、「定率法」が使える唯一の証券会社になります。

リバランスが面倒な方や、あらかじめ引き出す金額が決まっていれば、自動売却は不要になります。

注意
積立投資を設定している投資信託は、自動売却設定ができません。
  • 楽天証券のみが定率法の設定可能

4%ルールを成功させるために考えること

トリニティスタディで出てきた結果の中央値で、資産が5倍になったことから、4%が保守的な運用であると考えることができます。

しかし、万が一にでも資産の取り崩しに失敗しないよう、いくつかの策を記載しました。

成功率を上げる策
・暴落時に資産を取り崩さない
・リバランスを行いリスクを下げる
・株式比率は75%~100%

暴落時に取り崩し額を1%下げるのも、定率法を採用するのも、その根本は、暴落時にリスク資産を減少させないということです。

この対策と新NISAの活用による、20%の非課税は証券会社の手数料以上にメリットが大きいです。

新NISAについてはこちらの記事で解説しています>>新NISAの改正点と3つの投資手法

2024年から始まるNISA枠の1,800万円を活用することが、4%の成功を高めることができる理想的な運用方法です。

  • 定率法」は毎年算出「定額法」は引退時算出
  • 「定額法」は資産を全て使い切りたい方に向く
  • 「定率法」は暴落時に資産を守る
POINT
【定額法は防止策が必要】
・暴落時に資産を取り崩さない
・株式比率を25~50%以内
・リバランスを年に一度行う
【節税枠を使う】
・NISA、iDeCo

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