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新NISAで投資前に知っておきたい、株式変動の感覚

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全世界株への投資は安心なのか?

世界人口は増加するから世界への投資は安心でしょ!

投資を始める時に、情報収集してから投資を行う方が多いと思います。

検索情報の多くが、初心者向きの投資としてインデックスの全世界株を推奨する動画が散見されます。

ぜんきち
ぜんきち

その情報を鵜呑みにするのは危険です

なんで?

例えば、Youtubeであれば再生目的のための偏った情報が配信されていますし、おすすめに出てくる動画は関連する動画が並びますので、確証バイアスにかかってしまう可能性が高いです。

確証バイアスとは
自分の思い込みや願望を強化する情報ばかりに目が行き、そうではない情報は軽視してしまう傾向のこと

有名youtubverが初心者でも安心な投資先として全世界株が推奨されていますが、全世界株も「株式投資」になりますので、大きな含み損を考慮する必要があります。

自身の想定外の暴落が起きた時に「こんなはずじゃなかった…」と思うことがないよう、株式変動の感覚について解説します。

Check Point
  • 全世界株投資が初心者受けする理由
  • 平均利回りとなる年は極稀
  • リスクの低減には別の資産を組み入れる

もし、参考になったと思われたら、友人や親戚に “SNS”“リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。

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初心者へ全世界株が推される理由

投資で、一番大切なことは「なるべく長い期間、投資を継続する」ことです。この”長い期間”は最低でも10年以上となります。

それだけの期間投資をすることになると、必ず暴落に遭遇します。

その暴落の際に、投資を続けることができる投資先としては「全世界株」への投資が一番安心できると言われています。

具体的にどこがいいの?

ぜんきち
ぜんきち

端的に言うと、「人口増加」と「全企業へ投資」する安心感です

全世界株は株価の評価が高い企業高い割合で投資する「時価総額加重平均法」が用いられています。企業の栄枯盛衰に合わせ投資先や割合が自動に変化します。

この他に、人口増加が見込まれており、人口が増加すると労働力が増えると共に、”人の欲”がサービスや商品の消費行動に繋がり企業利益の拡大に直結します。

人口増加が直接的に株高へ繋がりませんが、重要な要因の一つと考えられています。

\国別の人口増加予想(約5分)/
\タップで拡大します/
出典:Our World in Dataデータ加工
チャートの解説
・国連の予想では2000年代に人口増加推移が減少
・2100年までに109憶人のピークに近づくと予想
・米全域、オセアニアでは人口増加
・欧州は人口減少が進む(2100年までに1億人減少)
・アフリカ人口増加は他国と比にならない

上のチャートが表すように、人口は2100年までに着実に増加しています。

様々な統計による予想で、最も精度の高い予想が人口と言われており、誤差率は2%弱です。

この他にも、米国株にはない全世界株の魅力について、こちらの記事で解説していますので参考にしてください>>全世界株投資を選択する理由

  • 人口増加 ≒ 株式パフォーマンス

平均変動率と各年変動率の乖離

全世界株の平均リターンは実質ベース5%、米国株で7%と言われています。

実質とは:インフレ率を考慮する数値のことです。

しかし、このリターンは「平均」であり、実際に過去のリターンを振り返ると、平均近くとなることが極めて稀ということがわかります。

【米国株】平均変動率の罠

\米国株リターンの平均と各年パフォーマンス/
チャートの解説
・S&P500配当込みの価格変動幅を基に計算しています。
※S&P500 Total Return
期間 リターン
1988 16.8%
1989 31.5%
1990 -3.2%
1991 30.5%
1992 7.7%
1993 10.0%
1994 1.3%
1995 37.4%
1996 23.1%
1997 33.4%
1998 28.6%
1999 21.0%
2000 -9.1%
2001 -11.9%
2002 -22.1%
2003 28.7%
2004 10.9%
2005 4.9%
2006 15.8%
2007 5.5%
2008 -37.0%
2009 26.5%
2010 15.1%
2011 2.1%
2012 16.0%
2013 32.4%
2014 13.7%
2015 1.4%
2016 12.0%
2017 21.8%
2018 -4.4%
2019 31.5%
2020 18.4%
2021 28.7%
2022 -18.5%

米国株式の35年平均収益率は名目12%です。(ちなみに1927年からの96年間においても12%でした)

名目とは:インフレ率を考慮していない数値のことで。上図では「インフレ率を減算していない収益率」となります。

上図を見て理解できるように、平均より極端にマイナスもしくはプラスとなる年の方が多いのが見て取れます。

では、次に全世界株の場合を見てみましょう。

  • 平均から大きく乖離した日が多い

【全世界株】平均変動率の罠

\全世界株リターンの平均と各年パフォーマンス/
期間 リターン
1988 28.1%
1989 35.3%
1990 -21.1%
1991 10.2%
1992 -4.2%
1993 11.7%
1994 -6.3%
1995 24.1%
1996 26.8%
1997 29.6%
1998 6.0%
1999 14.2%
2000 -3.6%
2001 -3.2%
2002 -29.6%
2003 21.7%
2004 10.4%
2005 28.3%
2006 22.6%
2007 5.1%
2008 -52.9%
2009 39.6%
2010 -1.2%
2011 -11.8%
2012 31.7%
2013 49.9%
2014 20.0%
2015 -2.1%
2016 5.5%
2017 20.0%
2018 -12.4%
2019 28.6%
2020 11.2%
2021 31.9%
2022 -6.1%

上図は名目リターンとなります。全世界の場合も、米国株と同じく平均に近いのは35年中4回しかありません。

もう一つ着目できるのは、全世界のマイナスは‐60%までのレンジとなりますが、米国株は‐40%のレンジでした。

全世界株の方が下落幅が大きく現れる傾向がありました。

  • 平均と近くは35年で4回

為替を考慮した場合

生活圏外となる国外へ投資する際には、為替リスクが伴います。過去の為替変動を考慮した収益率がこちらになります。

\各年の収益率(為替変動込み)/
期間 全世界 米国
1988 39.5% 28.2%
1989 27.6% 23.8%
1990 -26.1% -8.2%
1991 17.2% 37.5%
1992 1.8% 13.7%
1993 23.9% 22.2%
1994 1.8% 9.4%
1995 32.1% 45.4%
1996 11.2% 7.5%
1997 18.4% 22.2%
1998 -2.2% 20.4%
1999 27.2% 34.0%
2000 1.8% -3.7%
2001 -16.0% -24.7%
2002 -32.8% -25.3%
2003 29.2% 36.2%
2004 17.1% 17.6%
2005 26.4% 3.0%
2006 17.1% 10.3%
2007 3.9% 4.3%
2008 -40.7% -24.8%
2009 49.1% 36.0%
2010 5.0% 21.3%
2011 -2.7% 11.2%
2012 31.7% 16.0%
2013 27.6% 10.1%
2014 11.5% 5.2%
2015 -16.4% -12.9%
2016 15.6% 22.1%
2017 16.9% 18.7%
2018 -10.8% -2.8%
2019 29.9% 32.8%
2020 13.2% 20.4%
2021 29.1% 25.9%
2022 -25.8% -38.2%

為替変動を考慮すると、価格変動の規則性は見られませんでした。

平均の収益率は為替を考慮してもさほど影響がないことが認識できます。

リーマンショックやその他の歴史的暴落時を考慮する暴落率はこちらの記事で紹介しています。>>歴史的な暴落と為替変動

  • 超長期で見ると為替影響は小さい

全世界株の最大下落率

こちらのチャートは米国株式(S&P500)のETFである「VOO」と全世界株のETFである「VT」のチャートとなります。

\S&P500と全世界株のチャート/
出典:backtest visualizer

収益から米国を推すんですか?

ぜんきち
ぜんきち

今回は別の視点から見ます

「分散投資が大切」という話は既知の情報です。分散の目的はリスクを小さくする目的で行われます。

この比較では米国株(約500銘柄)全世界株(約2,900銘柄)の比較となります。

次に、全世界株と米国株のリスクを確認してみましょう。

S&P500と全世界株の最大下落率/
  標準偏差
(リスク)
利回り 最悪年 シャープ
レシオ
全世界株
(VT)
14.83 7.9% △18.01% 0.54
米国株
(VOO)
14.46 12.28% △18.19% 0.83

ここで注目したいのが「最悪年」つまり、シュミュレーション期間中で最も収益が悪い年の下落率です。

全世界株の方が大きい!?

約500銘柄への分散に比べ全世界株(約2,900銘柄)の方が下落率が大きいです。

解決策については後述しますが、この結果が表しているのは「株式の地域分散はリスクを高める」という結果です。

ぜんきち
ぜんきち

結局、株式の投資は変動を享受できる心が大切です

「全世界に丸っと投資しているから安心」という宣伝文句は幻想でしかなく、株式からのリターンを得るには結局、変動を受け入れることでしか成立しません。

  • 全世界株の方が下落率が大きい

全世界株のリスク

投資先の地域分散が暴落時にどれくらい効果があったのかを解説します。

米国株
米国指数S&P500
地域:米国100%
全世界株
VT:地域 ・米国63.6%
・欧州15.6%
・新興国10.5%
・中東0.2%

コロナショック時の下落

こちらのチャートは、コロナショックが起きた時の株価推移です。

S&P500,TOPIXと全世界株のチャート/
チャートの解説
・青:SPX(S&P500米国株指数)
・橙:VT(全世界)
・水色:TOPIX(日本株価指数)

上図のチャートをご覧いただいたように、下落期間・下落幅では世界へ分散する効果は見られません

VTは米国割合が多いため米国の影響を大きく受けますが、影響の小さい日本株指数についても同様にして下落しています。

結局、フラッシュクラッシュが起きた時の株式変動は似通ったもので、いくら株式で地域分散を図ろうが、株価のリスクは変化しないことを表しています。

  • 同アセットでは地域分散の効果が薄い

リスクを低減させる方法

リスクを低減するためには株式以外のアセットを組み込む必要があります。

別のアセットを組み込む際には「相関係数」を基に選択します。相関がない資産をポートフォリオに組み込むことで、リスクの低減効果が図れます

伝統的な資産であれば、「債券」「ゴールド」が株式と非相関となります。

株式,債券とゴールドのチャート
チャートの解説
・青:SPX(S&P500米国株指数)
・橙:VT(全世界)
・水色:EDV(米長期債券)
・黄色:GLDM(金)

上図はコロナショックの時の価格変動となります。EDVは20年以上の超長期米債券で、価格変動は株価指数と近い値動きを行います。ゴールドについても株価指数と同等の値動きがあります。

大底の前に同時に一時的に下落しましたが、下落幅や回復までの期間を考慮すると、概ね株式の下落を打ち消す働きがあると考えられます。

ただし、債券については他の要因もあるため、その時々により相関するケースも存在します。

株式と債券の相関について<抜粋>
  • 直近20年の相関性が非相関と思い込む要因
  • 債券はインフレ率が3%超えると「正の相関」
  • 債券は暴落時、株式より早く回復する

株と債券の関係について詳しくはこちらで解説しています。>>債券と株式の相関について

ぜんきち
ぜんきち

ゴールドは安全資産とされています

ゴールドは最古のお金で、埋蔵量に限りがあるため価値の保存方法としてメジャーな商品となります。

資産の「退避先」として用いられることが多いため、紛争による社会混乱時や、不動産株式などの価格が不安定な時に上昇することが多いです。

  • 同アセットでは地域分散の効果が薄い

非相関資産をポートフォリオに入れる

下のチャートは、無リスク資産といわれる「現金」「債券」や「ゴールド」をポートフォリオに組み入れた時のパフォーマンス比較です。

1986-2023「株式50%:現金・債券・ゴールド」
資産 年換算リターン 標準偏差 最高の年 最悪の年 最大下落率 シャープレシオ
現金 6.49% 7.61% 20.19% -19.17% -28.81% 0.47
債券 7.73% 7.92% 24.60% -14.31% -23.69% 0.60
ゴールド 7.51% 11.10% 27.97% -17.47% -28.43% 0.43
出典:Portfolio Visualizerデータ加工
チャートの解説
・青:全米30%,米国外20%,現金50%
・赤:全米30%,米国外20%,米中期債券50%
・黄:全米30%,米国外20%,ゴールド50%

債券が下落率が一番抑えられ、シャープレシオも優れています。

続いて、「株式100%」と「株50%:債券50%」を比べて、リターンの優劣を把握します。

\全世界株100% vs 債券50%/
資産 年換算リターン 標準偏差 最高の年 最悪の年 最大下落率 シャープレシオ
株式100% 9.14% 15.32% 34.86% ‐39.86% ‐54.03% 0.45
株50:債券50 7.73% 7.92% 24.60% -14.31% -23.69% 0.60

 

出典:Portfolio Visualizerデータ加工
チャートの解説
・青:全米60%,米国外40%
・赤:全米30%,米国外20%,米中期債券50%

全世界株100%」と「全世界株50%:債券50%」を比較すると、平均リターンは1.5%程度低下しています。

しかし、最大下落幅が株式100%に比べて半分以上減る23.69%となり、標準偏差も半分近くの7.92%となります。

50%債券へ分散した効果
  • 価格変動幅が小さい(7.92% vs 15.32%)
  • 最高年の収益は劣る(7.73% vs 9.14%
  • 最悪年の下落は小さい(-14.31% vs -34.95%)

ゴールド債券現金は無リスク資産と言われています。米国株での比較となりますが、この無リスク資産を50%,株式50%ポートフォリオ別のリターンについてはこちらの記事で紹介しています。>>無リスク資産別の収益

  • 非相関資産を組み込むと強固なポートフォリオになる

【全世界株のリスク】まとめ

全世界株投資がいくら安心と言っても「株式投資」が持っているリスク(価格変動)に耐えるメンタルが必要です。

どれだけ分散を行っても株式のインデックス投資による価格変動は54.03%の下落を覚悟する必要があります。

半分以上下落するのは厳しい…

しかし、債券を50%組み入れると年間のリターンはやや劣りますが、最大下落率が28.43%小さくなります

ぜんきち
ぜんきち

下落率が大きいなら金や現金の比率を高める必要があります

  • 全世界株の下落は米国より10%以上大きい
  • 超長期でみる為替リスクはほぼ無し
  • 株式の地域分散によるリスク管理は機能しない

もし、参考になったと思われたら、友人や親戚に “SNS”“リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。

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