依然、株価暴落時に靭性のあるポートフォリオとして、黄金のポートフォリオを解説しました。
このポートフォリオは世界最大級のヘッジファンドを創設したレイ・ダリオ氏が紹介したポートフォリオでした。
対象商品 | 概要 | 割合 |
株式 | 米国株式 | 30% |
ゴールド | 現物の金 | 7.5% |
商品 | 原油や穀物 | 7.5% |
長期米国債 | 20年から25年の米国債 | 40% |
中期米国債 | 7年から10年の米国債 | 15% |
実は、このポートフォリオは米国投資家向けに考案されたポートフォリオとなっております。
じゃあ日本版ってあるの?
日本版 黄金のポートフォリオは山崎 元氏によって考案されています。
山崎 元さん って誰?
メリルリンチ証券などの証券企業を渡り歩いた経済評論家です
山崎 元氏はこちらのように投資初心者にわかりやすい書籍に携わっています。NISAを始める前に投資初心者が是非とも読んでおきたい書籍です。
この記事では、日本版黄金のポートフォリオについて解説し、このポートフォリオのデメリットを解消するポートフォリオも紹介します。
もし、参考になったと思われたら、友人や親戚に “SNS” や “リンク” で紹介して頂けると今後の励みになります。
【日本版】黄金のポートフォリオ
こちらが、日本の投資家へ向けて”山崎 元”さんが考案した「日本版オール・シーズンズ・ポートフォリオ」です。
オリジナル版 | 日本版 |
米国株式(30%) | 先進国株式(5%) 先進国株式ヘッジ(10%) 日本株(15%) |
米中期債券(15%) | 外国債券ヘッジ(15%) |
米長期債券(40%) | 長期日本国債(20%) 国債(変動10)(20%) |
金(7.5%) | 金(10%) |
商品(7.5%) | J-RERT(5%) |
日本版とオリジナル版を比較すると、「株式」や「債券」の割合は同じとなります。
異なる部分は、「金」の割合が大きいのと不動産である「REIT」を組み入れるところです。
日本債は金利低いよね…
日本債券の金利は超長期に渡り、ほぼ0%となっています。そのため、このポートフォリオによる期待リターンは2~3%と推測できます。
リスクは5~8%となりますので、日本版ポートフォリオはリスクリワードが悪いと言えます。
国内債券より現金の方が良いかも…
こちらのポートフォリオは下の書籍で詳しく書かれています。
J-REITの具体例
オリジナル版と日本版の違いには、「商品」の代わりに「J-REIT」を組み入れしている所です。
J-REITは不動産を保有せず不動産投資する手法です
日本の証券会社から「商品」へ投資しようとすると、ETFの種類が不十分で手数料が高いため、先物市場の取引が主流になります。
そのため、使い勝手の良いJ-REITをコモディティの代替として採用されています。
一言に不動産といっても、「居住用」「ビジネス用」の大きく二つに分類できます。例えば、アドバンス・レジデンス投資法人などは主に「居住用」を取り扱い、景気に左右されにくい特徴があります。
この他に、運送業界の残業規制に伴い、荷物の保管量が多くなる目論見から、三菱地所物流リート「物流リート」の評価が高まっています。
【日本版】黄金のポートフォリオのテコ入れ
まず、日本版ポートフォリオの問題はポートフォリオは更にゴチャゴチャしているということです。
下のポートフォリオは山崎氏の日本版オール・シーズンズ・ポートフォリオを改変したものです。
オリジナル版 | 日本投資家版 |
米国株式(30%) | 米国株式(25%) 日本株(5%) |
米中期債券(15%) | 米中期債券(15%) |
米長期債券(40%) | 米長期債券(40%) |
金(7.5%) | 金(15%) |
商品(7.5%) | 商品(0%) |
山崎 元氏が考案したポートフォリオをベースに以下の項目を改変しました。
なぜ、このように改変したのかを次に解説します。
為替ヘッジの如何
実は、日本円とドルの変動幅は想定の範囲内で推移しています。
そのため、積立買付のように時間分散で投資ができれば、大きな差となりません。
時間を分散して購入すれば、為替を平均値で取得することができます。
そのため、急激な円安が起きても以前から投資を継続していれば、保有する為替レートが上がりづらいですし、これから投資を行なうにしても将来の円高を吸収してくれます。
為替が気にならなくなったメリットは?
コストの面で優位になります
為替を気にする必要がなければ、「為替ヘッジ」する必要がなくなり、不必要なヘッジコストが消失します。
このヘッジコストは変動するので、あらかじめ費用がわからないのがネックになります。このヘッジコストを簡単にイメージすると、一番ヘッジして欲しい時に手数料が大きくなってしまいます。
為替についてはこちらの記事で解説しています。>>為替と為替ヘッジ
海外資産の位置づけ
日本人が日本の資産だけを保有するのは偏りではないのか?
利益の大半を内需で稼いでいる企業へ勤めている場合、自分が置かれている状況を俯瞰してみると「収入」「投資」の全てを日本へ全振りする偏った資産配分になっています。
転職は外部要因が大きいためタイミングが必要ですが、投資先は自分の裁量次第でいつでも変更ができます。
資産の偏りを修正するために、投資先としてスタンダードは米国株市場となっています。米国の大手企業はグローバル企業が多く、米国投資を通じて全世界へ投資することとほぼ同じ意味合いとなっています。
世界を俯瞰して考えると、投資先は日本に限定するのでなく、米国株へ投資資金を振り分けしたほうが合理的であると考えられます。
債券レバレッジの黄金ポートフォリオ
余談ですが、債券のレバレッジETFを活用すれば、株50%:債券25%:金25%の綺麗なポートフォリオを作ることができます。
オリジナル版 | レバレッジ版 |
米国株式(30%) | 米国株式(40%) 日本株(10%) |
米中期債券(15%) | ー(0%) |
米長期債券(40%) | 米長期債レバレッジ3倍(25%) |
金(7.5%) | 金(25%) |
商品(7.5%) | 商品(0%) |
レバレッジを使うため、ご批判は多数ありますが、黄金のポートフォリオの基になるオール・ウェザー戦略は債券にレバレッジを掛けて、債券の変動率を株式と同等へ引き上げています。
基礎になっているのがレバレッジ使ってるんだ…
このポートフォリオのメリットはポートフォリオ割合がとてもわかりやすいという点です。
割合がわかりやすければ、計算せずとも資産の偏りに気付き、リバランスの要否判断が容易となります。
日本株を組み入れする理由
結論から言うと、配当金目当ての投資となります。増配当銘柄への投資は、暴落直後に減る可能性が低いという特徴があります。
配当銘柄は、「成熟企業」や「割安企業」であり、投資家からの過剰な期待が株価に反映していないことから、株価暴落時に下落幅は限定的なことが多いです。
また、株価が暴落して資産が急減している中の定期的な配当は、心の平穏に繋がります。
増配当銘柄であると、配当金の減少はわずかなものになります。
配当銘柄には賛否があり、考え方により異なりますので、日本株を止めて全て米国指数へ全振りするのも一案となります。
レバレッジ3倍のデメリット
レバレッジ3倍は「高コスト」「逓減リスク」というデメリットがあるため、一般的には短期投資向けの商品です。
「逓減リスク」って?
逓減リスクとは、基になる指数がヨコヨコで推移すると、レバレッジ商品の方がベースとなる指数に比べ下がってしまうことを逓減リスクといいます。
つまり、レバレッジ商品はレンジ相場に弱いということです。下のチャートはNASDAQ100のレバレッジ投資信託の説明図です。
レバレッジのデメリットは逓減リスクに加え、「高コスト」であることから短期投資を繰り返し行うと、その都度「手数料」と「税金」が課せられます。
そういったレバレッジ商品のデメリットを一言でまとめると「長期保有に向かない」ということに尽きます。
黄金のポートフォリオは長期保有となりますので相反関係です
レバレッジの真骨頂である価格の大きな変動は「プラス面」も「マイナス面」もあります。それは、レバレッジの2倍と3倍とたった1倍の差で大きな違いになります。
こちらの記事はレバナス3倍をシミュレーションしています。レバレッジ2倍と3倍でかなり差がありますので参考にしてください>>レバナス3倍
レバレッジ3倍ではなく、レバレッジ2倍の債券へ投資したいのであれば、「UBT」というETFも存在します。
債券投資は株式より変動が小さいため、同じようになりません。しかし、レバレッジ商品という観点から見ると根本は同じです。
【まとめ】日本版 黄金のポートフォリオ
レイダリオ氏が紹介した「オール・シーズンズ戦略」通称:黄金のポートフォリオは米国投資家向けのポートフォリオとなっております。
これを、レバレッジ債券に変えると、比較的わかりやすい割合となりますから、リバランスしやすくなります。
しかし、レバレッジ商品のデメリットを考えると、長期で資産を運用するとなると難しくなります。
そのため、多数のETFを複雑な割合で保有することが黄金のポートフォリオの王道となります。
オリジナル版 | 日本投資家版 |
米国株式(30%) | 米国株式(25%) 日本株(5%) |
米中期債券(15%) | 米中期債券(15%) |
米長期債券(40%) | 米長期債券(40%) |
金(7.5%) | 金(15%) |
商品(7.5%) | 商品(0%) |
割合の複雑性と為替変動の許容で、日本の投資家にとっての黄金のポートフォリオが作成できます。
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