為替介入の規模は?
為替介入はいつまで続くのか?
こんな疑問を解決する記事を書きました!
2022.10.20に1990年以来(32年)の円安水準となる『150円』を付けました。
近年の米国投資ブームを受けて米国に投資を行い始めた方は、円安が大きく進み、このまま投資を続けていって良いのだろうか?と言う疑問が生じ始めている頃だと思います。
この記事では、円安はいつまで続くのか?そして、円安は何によって止まるのかを推察します。
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円安が進む原因
円安が進んでいる原因は様々な要因がありますが、端的に端的に言うと、日米の金利差が拡大していることが原因です。
このキャプチャーの相関係数(下)を見ると、1.00に近づけば正の相関が強くなりますので、長期金利の金利差が拡大と同時に、円安が進行している事がわかると思います。
金利差が為替にどう影響するの?
なぜ、金利差拡大が円安を進めるのかを簡単に説明すると、日本円で0.01%の利息を貰うより、米ドルに替えて4%の利息を貰いたいという心理が働くからです。
もっと言うと、円で調達した資金をドルで運用すれば利ザヤ分だけ確実に儲けることが可能です。
日米金融政策の違い
そもそも、円安要因となる金利差がなぜ拡大していくのかと言いますと、日米中央銀行の金融政策の違いが原因となります。
日本銀行の金融政策では低金利を維持するために、金利が上がってきたら無制限に国債を買い入れすることで、国債の利回りを維持しています。
一方、米国の中央銀行であるFRBは、高インフレを抑制するために、政策金利を75bpづつ上げており、2022.10時点で3.25%-3.5%となります。
米国の金利ってこんなに高いんだ!!
つまり、日本の金利が一定であるのが約束されていますので、米国の金利が上げ続けている限り、金利差が増加するのは必然です。
FRBのQT
さらに、QTが始まったことで米国の長期金利が上昇に拍車がかかります。
QTとは、FRBがこれまで米国債を償還期限が来るたびに買い直していたのに対し、償還期限が来る債券の一定程度は買い直しをしないという事です。
債券を購入しないと、これまで以上に債券が市場にあふれますので、『債券価格が下がる』つまり、『債券利回り(金利)が上がる』という事になります。
そうした事で、これから長期金利が上昇し続ける公算が高くなります。
円安を止める手段
円安を止める方法は、大きく三つ考えられます。
日銀の指値オペ停止
日米金利差を抑えるためには、日銀による国債購入額を減らす必要があります。
しかし、これは少々難しいです。
なんで!?
その理由は、長期金利が上がってしまうからです。現在の長期金利は0.25%です。
この金利を上げてしまうと、約8年続いた超低金利に慣れてしまった中小企業が軒並み倒産していくおそれがあります。
他にも、日本政府が大量に発行している国債の評価損が膨らむため、政府は快く思わないでしょうし、短期プライムレートが上がれば家を所有する方のほとんどが加入中の住宅ローン金利が上昇します。
固定金利であれば、金利は上昇しませんが、住宅ローンを組んでいる方の70%が変動金利ですので、短期金利の買い入れを止めれば家計を圧迫します。
家計が苦しくなると、消費意欲が減りますから、ますます企業業績が低迷してしまいます。
企業業績が悪化すると、雇用を継続できなくなる企業も出てきて、ローンを支払う事が出来なくなった物件が大量に競売されれば、住宅価格が一気に値崩れを引き起こします。
為替介入
為替介入を実行して、直接『円安』へ歯止めを効かす事も可能です。
しかし、これには3つの問題があります。
為替介入の問題点については別の記事で解説しています。
貿易収支
貿易収支が『黒字』であれば、円安に歯止めをかける事が出来ます。
その理由は日本企業が商品を海外で売ると外貨が手に入ります。
商品の生産時に、コスト(原材料や人件費)が掛かりますから、その支払いは生産国の日本で行われます。
この時に、外貨を売って円を買うわけですから、円高に動きます。
つまり、輸入金額より輸出が多くなれば『円高』となり、輸出が多い状態を貿易収支の黒字で表されます。
では、現在の収支はどうかと言うと、赤字となっております。
赤字となる、要因は『原子力発電』の代替に『火力発電』を稼働させ、発電するための燃料(石炭・原油)輸入量が増加したため、なかなか黒字化の見通しが立ちません。
為替の転換シナリオ
それでも、永遠に円安となることはありえません。どこかで転換シナリオが来ると考えられます。
では、いつ転換が起きるか考えてみましょう。
日米中央銀行の金融政策転換
日米それぞれの金融政策が変わる期待が広がれば、金利差が縮小する可能性があります。
日銀の黒田総裁は2022年度末となる3月に任期を終えます。リフレ派として知られている中曽氏が次期総裁候補である
10月に入り、ミクロでは物価高が収まっている兆候が見えだしました。
しかし、FRBはインフレが完全に収まってから、利上げペースを変更させるため、今後数回のPCEもしくはCPIの数値を見て、政策判断します。
インフレが収まったと判断できてから、経済の減速と、失業率が急増が起きると利下げに踏み切る可能性も十分に考えられます。
貿易収支の黒字化
貿易収支の黒字化を図るには、原発の再稼働が『要』となります。
新適合基準に合格済みで、未稼働の原発が7基あります。これを地域住民の理解のために、期間限定として稼働させれば住民に容認しやすく、燃料の影響は受けにくいです。
ウクライナとロシアの戦争で、原油燃料価格が高止まりしています。これも、“戦争の沈着”や“経済の落ち込み”が顕著になるほど、原油価格の低下が期待できます。
コロナウィルスの影響で観光客需要が制限されていますが、この制限が解除されば円買い需要が増えます。
そのインバンド効果は2019対2021比で、7.1兆円と言われています。
『ドル高』から『ドル安』へ
上のキャプチャーは国際決済銀行(BIS)が3年毎に調査している為替取引量を元にブライト・アセット(株)が作成したグラフとなります。
2019年の1営業日あたりの取引高が約6.6兆ドルあり、その内約9割が米ドルが絡んでいる取引となります。
円の強弱より、米ドルが大きく変動すると、その影響は『円安』や『円高』になって表れます。
2022.10.26からの動きは米ドルが弱くなったため、円高方向へ為替が動き145円となったと推測できます。
まとめ
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