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アルゼンチン1位のエネルギー企業(YPF)分析

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アルゼンチンの生産高1位企業YPFについて解説します。

YPFは、国営の石油・ガス探鉱生産会社です。

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YPF基本データ

社 名 YPF Sociedad Anonima
本 社 アルゼンチン ブエノスアイレス
ティッカー PXD
セクター
Energy:エネルギー
設 立 1922年
上 場 1993年(NYSE)
時価総額(USD) 1.698 Bil(2022.2.17)

事業概要

YPF(YPF Sociedad Anonima)はアルゼンチンで採掘できる天然ガスと石油の35%を生産するエネルギー会社です。エネルギーの探鉱、開発、生産以外にも、石油製品、石油誘導体、石油化学製品、液化石油ガスの精製、マーケティング、輸送、販売、さらには発電事業にも幅広く手掛けております。

株式保有割合では51%をアルゼンチン政府が保有し、49%が浮動株となります。詳細はこちら

YPFの業績

出典:マネックス証券 データ加工
決算 売上高(ARS Mil) EPS
1Q 57,003 0.06
2Q 60,162 0.54
3Q 66,034 0.24
2017/12 69,614 30.59
1Q 75,823 15.47
2Q 93,034 5.08
3Q 121,188 33.50
2018/12 145,775 44.38
1Q 130,907 -20.86
2Q 160,329 -6.85
3Q 180,449 -32.44
2019/12 206,910 -26.70
1Q 174,670 15.83
2Q 133,558 -215.67
3Q 173,485 -90.29
2020/12 187,473 112.71
1Q 234,890 -5.26
2Q 315,873 -114.67
3Q 353,558 57.33
出典:マネックス証券 データ加工
出典:マネックス証券 データ加工
CF(ARS Mil) 営業利益率 ROE ROA 営業CF 投資CF 財務CF 現金・現金等価物
フリーCF
2007/12 20.90% 16.20% 11.10% 8,760 -6,189 -2,811 848 2,593
2008/12 19.10% 15.70% 9.40% 13,558 -7,043 -6,147 1,215 6,523
2009/12 20.40% 17.80% 8.80% 9,414 -5,603 -2,881 2,145 3,778
2010/12 21.50% 30.50% 13.30% 12,726 -8,624 -3,720 2,527 3,997
2011/12 15.10% 28.00% 10.40% 12,770 -12,278 -1,571 1,448 481
2012/12 11.80% 15.60% 5.80% 17,301 -16,403 2,654 4,747 898
2013/12 11.40% 12.90% 4.80% 20,964 -22,344 6,979 10,713 -6,675
2014/12 15.00% 14.90% 5.20% 46,154 -53,405 4,986 9,758 -4,059
2015/12 12.30% 4.70% 1.60% 41,404 -64,049 23,665 15,387 -22,370
2016/12 3.90% -23.60% -7.20% 49,183 -66,174 10,817 10,757 -14,977
2017/12 4.80% 9.10% 2.70% 71,974 -55,242 -355 28,738 12,356
2018/12 6.50% 15.10% 5.10% 125,058 -82,251 -43,656 46,028 36,765
2019/12 3.20% -7.60% -2.70% 217,137 -163,879 -56,082 66,100 55,682
2020/12 -11.40% -11.40% -4.00% 209,216 -109,161 -121,112 54,618 94,600

2020年には新型コロナウィルスの影響により、生産がストップしてしまったことやパンデミックによる外出自粛によるガソリン需要の低下一時赤字となりました。

YPFについて

YPFの歴史

YPFは1922年にアルゼンチン政府により設立された世界最初の国営石油会社としてスタートしました。国内エネルギー需要の充足と輸出による外貨獲得に貢献していきました。

しかし、その後年間で$2.5 Bilの赤字を垂れ流し、1980年代には$6 Bilの債務を抱えてしまうほどに債務が膨れ上がりました。この債務はアルゼンチン政府財政を圧迫していることから、同社が民営化の対象に上がりました。

2年後となる1991年にYPFの民営化が決定されました。$2 Bilの資産売却や4万人以上となる従業員の削減を行い、僅か3年間で黒字化を達成しました。

その後、スペインの石油企業に買収されるも2012年に再国有化されました。

YPFとシェール

アルゼンチンのシェールオイルが世界2位シェールガスが世界4位の埋蔵量を誇り、どちらとも技術的に回収可能な量となります。

2010年末からYPFを中心としてシェールの開発がスタートしました。その後、難航するも、政府によるインフラ整備などの支援により石油企業のシェール開発が積極的に行われ、シェール生産量が増加しました。

アルゼンチンには世界最大級のシェールガス田であるバカムエルタ鉱区があり、この開発利権はYPFが保有しています。アルゼンチンでは209本のシェール油井があり、その内半数がYPFとなります

出典:JOGMEC

アルゼンチンのシェールは『Vaca Muertaシェール』と言われ比較的に浅い部分の採掘となり、シェール掘削の中でもコストが少ない事が大きな魅力となります。

米国で生産量が一位の地域であるパーミアン盆地が1エーカー当たり$0.95 Milに対しバカムエルタは$0.14 Milと生産コストが約1/7になります。

この差がアルゼンチンのシェール開発が今後も期待でき、同社の業績を上昇していく根源となります。

ウクライナ危機

ロシアの主要輸出品目は“天然ガス”となり、輸出の殆どがパイプラインを通すものとなっています。

ロシアがウクライナへ侵攻すると、欧州を含め、世界各国でロシアへの経済制裁が行われます。経済制裁では、ロシアからの資源は禁輸となりますので、エネルギー価格とりわけ、天然ガスの高騰が予測できます。

ウクライナ危機については関連記事に解説リンクを貼っておきます。

まとめ

  • YPFは100年の歴史あるアルゼンチン最大級のエネルギー垂直統合企業
  • アルゼンチンは世界トップクラスのシェール埋蔵量がある
  • 採掘コストが安いため、シェール開発と好業績が続きやすい

共に学んで豊かになりましょう!それでは、また!!

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