全世界株が米国から劣後する最大倍率は?
具体的にどれだけの差が生じそうなの?
35年間を振り返ると、米国株は全世界株投資よりも円ベースで2.7倍の差が生じていました。
大きな差ですね…
今後はこんなに広がりません
今後、全世界株投資と米国株投資の差が小さくなるのは、過去よりも全世界株に占める米国株比率が高くなっているからです。
米国株がより強くなっていくと、全世界株に占める米国株の比率がさらに大きくなるため、全世界株との差がどれだけ大きく開いたとしても、1.61倍以上となることは有り得ません。
全世界株は米国株に大きくアンダーパフォームしてしまうと思い、全世界株への投資を迷っている方にとって解決する記事となれば幸いです。
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米国株と全世界株のリターンの差が小さくなる理由
米国株と全世界株のリターンの差が小さくなる理由は大きく2つあります。
全世界株に占める米国割合
全世界株へ最も低コストで投資を行なうには投資信託となります。
全世界株の投資信託で最も純資産額が高い商品が「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)です。こちらの国別の投資割合はこちらになります。
これまで米国と全世界株の35年リターンの差が約2.7倍となっていました。
しかし、構成国の内、半分以上がアメリカとなっている現在において、今後、数学的に2倍以上となることはありえなくなりました。
数学的な知見によるもの
オルカンの米国比率62.3%の内、S&P500の比率は約62.2%となります。
つまり、オルカンへ投資をすると「S&P500へ62.2%投資しているのと同じ」ということになります。
そうであれば結論として、米国株が急騰を続け、米国外が衰退しても、数学的に全世界株と米国の差は1.61倍以上となることはありません。
もっと詳しく教えて!
考え方は「米国株」と「米国以外」の2つがこれまでのパフォーマンスを継続すると考えます。
そうすると、米国の株価上昇率に比べ、米国以外の国が劣っているため、全世界株に占める米国比率が大きくなります。
下の図を確認していただければ、米国株の上昇は全世界株の上昇に繋がり差が小さくなることが認識できます。
35年後の未来において、「米国」と「米国以外」の株価がそれぞれ約40.6倍と約7.3倍が続くと仮定すると、全世界株は約28倍となります。
これは米国株の上昇倍率と比べ約1.4倍となり、2倍の差となることはありません。米国以外が全て衰退するというありえない事態を考慮しても最大倍率が1.61倍となり、これ以上差が広がることはありません。
(特別リバランスとは、単純な時価総額平均ではなく銘柄の偏りを調整するリバランス)
・米国以外が上昇すると、倍率がマイナスとなるため2倍以下という意味で例示していません。
上昇するイメージはこうなります
米国株のパフォーマンスが継続したとしても、全世界株との乖離が広がることはありません。
つまり、全世界株への投資は米国株の独走を喜んで受け入れることができます。
米国外の高パフォーマンスが見込める
過去120年間の株式市場の内、最もリターンが大きかった国はどこかご存じでしょうか?
アメリカかな!?
残念、南アフリカです
南アフリカのリターンが良かった要因は「バリュエーション」が最低だったからです。
南アフリカでは、経済の指標となるGDP成長率が劣っているものの、株式指数を見ると、リターンが世界一でした。
つまり、株式のパフォーマンスが期待できる指標となるのは、GDPの成長率よりもバリュエーションが重要となります。
このような、超長期に渡る株式市場の真実を詳細に記載した書籍はジェレミー・シーゲル氏の「Stocks for the Long Run」最新刊にあります。
ちなみに、切り取る年を2020年とすると、オーストラリアが一番で、次点でアメリカ、次いで南アフリカ、ニュージーランドと続きます。(情報元:Bloomberg)
米国は割高水準を継続
米国株のバリューを表した有名な指数として、バフェット指数があります。
バフェット指数ってなに?
米国市場の時価総額をGDPで割った指数です
政府による増紙を考慮したチャートを”青”、純粋なバフェット指数を”緑”で表しています。
リーマンショック(2007年)以前においては、”緑”と”青”の乖離は誤差程度です。しかし、FRBによる量的緩和が始まったリーマンショック以降においては、乖離が大きく表れています。
今は割安なの?
123%を超える「超割高」となり、2022年には標準地まで下がってきたものの、現在は超割高へ戻ってしまいました。
全世界株の注意点
これまでの過去200年を振り返ると、米国株に比べリターンが劣っていながら、リスクも大きくなっています。
標準偏差 (リスク) |
利回り | 最悪年 | シャープ レシオ |
|
全世界株 (VT) |
14.83 | 7.9% | △18.01% | 0.54 |
米国株 (VOO) |
14.46 | 12.28% | △18.19% | 0.83 |
ETFが設定された時からのチャートとなりますが、遡った200年では全世界株の方がリスクが大きいです。
全世界株の方が分散しているのになんで?
宗教・戦争・政治による地理的リスクが影響してそうです。しかし、ロケット技術の発展により今後地域分散の効果が薄まってくると推測できます。
リスクとリターンの再現性についてこちらの記事で詳しく解説しています。>>リスクとリターンについて
リスクを抑える対策
リスクを抑える方法はないの?
大きく2つあります
多くの投資家は「債券」や「コモディティ」などの別の資産へ投資を行ないます。
とりわけ、現時点で購入チャンスが来ているのが「米国債券」となります。
・米国債が200年ぶりの安価
・2024年の利下げが想定される
米国以外はだめなの?
米国が一番メジャーで安全な市場です
米国債券は全世界の3分の1を占める、33兆2000億ドルです。
国別 | 政府債務額 |
債務比率 |
対GDP比 |
アメリカ | $33,228.90 | 34.20% | 123.30% |
中国 | $14,691.70 | 15.10% | 83.00% |
日本 | $10,797.20 | 11.10% | 255.20% |
イギリス | $3,468.70 | 3.60% | 104.10% |
フランス | $3,353.90 | 3.50% | 110.00% |
イタリア | $3,141.40 | 3.20% | 143.70% |
インド | $3,056.70 | 3.10% | 81.90% |
ドイツ | $2,919.30 | 3.00% | 65.90% |
カナダ | $2,253.30 | 2.30% | 106.40% |
ブラジル | $1,873.70 | 1.90% | 88.10% |
世界全体 | $97,129.8 | 100% | 93.00% |
米国債務の信用格付けは「AA+」(S&P)という最高クラスから一つ下位のクラスになります。ちなみに日本は「A+」で、これは米国の3つ下のクラスです。
しかも、債券は歴史的に見て割安となっています
実は、米国債券は250年ぶりの暴落が起きていました。
利回りが上昇すると債券が下がりますので、この安価の要因は、インフレ抑制のための政策金利を急騰させたことによるものです。
債券価格と利回りについて詳しくはこちらを参照ください>>債券と利回りの関係
利上げの要因となったインフレの抑制が見え始めたら政策金利は下げる公算が高いため、債券を購入するタイミングとしては今がベターです。
非相関の「金」しか勝たん
株式や債券と全く相関が確認できない資産を組み入れると、リスクの「低減効果」と「資産の増加」に役立つ可能性が高いです。
リスクの大きさでリターンが決まるのでは?
リスク抑制とリターンを保つことは可能です
金(ゴールド)20%をポートフォリオへ組み込むことで、最大下落率を抑え、リターンを上昇させることができます。
ポートフォリオに金を組み入れた時のバックテストについてはこちらの記事を参照ください>>米国株+αを検証
【まとめ】全世界株と米国株の差が狭まる理由
「全世界株」と「米国株」どちらへ投資するか選ぶ時に、頭に思い浮かべて欲しいことがあります。
それは、全世界株へ投資を行なう選択は米国の成長を取りこぼさないということです。
また、米国より密かに優れている国へ投資を行なうことができます。
全世界株では、米国株よりリスクが大きくなってしまう注意点があります。
これを抑制するには、別のアセットをポートフォリオへ組み込むもの心地よく資産を保有する一案となります。
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