こんな悩みを解決できる記事を書きました!
海外で所得がある方を対象に二重課税を回避する外国税額控除について”ザックリ説明”で分かりやすく解説します。
国内に居住しており、外国株で配当金を得た人や外国の不動産所得がある方、そして、海外でその他の所得がある方が対象となります。
外国税額控除ってなに?
現状、外国株において、配当金が支払われた時に、外国の課税と日本の課税 この二つの税金(二重課税)が課せられています。(特定口座の場合も二重に税金を納めています)
この二重課税を解消するために、存在するのがこの『外国税額控除』です。
そのため、外国で税金を納める必要がない場合は適用されません。
そして、nisa口座の場合は、日本国内の課税がありませんから、外国で課税されても二重課税とならないため、外国税額控除の対象にはなりません。つまり、nisa口座の場合は外国税額の課税のみとなります。
例にアメリカの場合の課税を下の表にまとめましたのでご覧ください。
NISA口座
(例)アメリカ |
外国税 | 国内税 |
配当金 | 〇 | ✖ |
売却益 | ✖ | ✖ |
一般・特定口座
(例)アメリカ | 外国税 | 国内税 |
配当金 | 〇 | 〇 |
売却益 | ✖ | 〇 |
減税額は国により課税している税率が異なるため、下の表2を参照してください。
諸外国 | 税率 |
アメリカ | 10% |
イギリス | 10% |
フランス | 10% |
ロシア | 15% |
ドイツ | 15% |
ベトナム | 非課税 |
インド | 非課税 |
表2(2020年現在)
外国税額控除が適用される条件
NISA口座の非課税口座は対象外となっていますので、一般口座、特定口座の取引のみの控除となります。
他にも一部のETFについては“二重課税調整制度”があり2020年から外国課税分が自動的に減額されていますので、対象外となります。
外国税額控除には上限があります。上限を算出するのに、外国所得の割合を算出して上限を出します。この上限について詳しくは後述します。
外国税額控除額のデメリット
確定申告が必要
この外国課税控除を受けるために確定申告が必要になります。サラリーマンでない方(学生および主婦の方など)が特に気を付けないといけません。もし、サラリーマンであっても、育児休業や休職で給与所得が無くなり、誰かの扶養に入る予定の方は十分注意してください。
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ほとんどのサラリーマンは満額控除されない
外国税額控除には所得税額と外国からの所得で限度額(上限)が決まります。そのため、所得税があまりない場合や、総所得の中の外国所得の割合が少ない場合は、一部だけしか控除されません。
外国税額控除額の上限
注目したいのが、手順①の控除限度額を算出において
1)所得税額をかけているということ。
2)国外所得÷総所得
となっているところです。
つまり、“所得税が高い”そして、“国外所得が多い”方が控除限度額が有利にはたらく計算になっています。
そのため、“所得税が低い”そして、まだ外国株に投資を始めた段階で“外国の利益が少ない”方が不利になります。
具体的な控除率
Webを使えば簡単に算出されるため、外国税額控除のためだけに確定申告する場合は、国税庁HPの自動計算を活用してから、確定申告した方が簡単です。
ただし、ほとんどの方が外国税額控除だけでは、還付される金額が少ないため他の控除を申請するついでに申請するのがベストだと思います。
国税庁HPを使えば自動計算される。
確定申告する際には、国税庁HPの確定申告書作成で必要事項を入力すれば、自動で計算されるため、細かく覚える必要はありません。そのため参考として、計算例を掲載します。
具体的な節税額(例)
ここからは、覚えなくてもいい参考の話になります。
控除額を分かりやすくするために、所得税額が高く、国外所得が多い場合にしています。
この計算で出てくる
累進課税や様々な控除について別の記事で記載しましたのでリンク貼っておきます。
手順①控除限度額を算出する
例
総所得500万円 米国配当所得100万円
控除限度額=その年の所得税の額×(その年の国外所得額÷その年の所得総額)
その年の所得税(所得税額の算出)
572,500円 = 500万円✖20% ー 427,500円
※その年の所得総額・・通常”課税所得”と同じになりませんが、この記事では便宜上同額としています。(通常は 課税所得 < その年の所得総額)
※復興税は除外しています。
控除限度額の算出
572,500円 ✖ (100万円÷500万円) = 114,500円
手順②算出した控除限度額と外国所得額を比べる
外国所得税額の確認
米国配当所得100万円 ✖ 10 %=10万円
(特定口座年間取引報告書を確認すれば記載があります。)
- 外国所得税額 < 所得税の控除限度額
外国税額控除額 = 外国所得税の額 - 外国所得税額 > 所得税の控除限度額
手順③へ
1.外国所得税額 < 所得税の控除限度額の場合
10万円< 114,500円
外国所得税額 < 所得税の控除限度額
例の場合では”手順①”で計算していた、控除限度額より外国所得税額が小さいため外国所得税額が外国税額控除額となります。
外国税額控除額 = 10万円
【確定申告効果】
・申告前 源泉徴収税額
(100万円ー10万円) ✖ 15.315% = 137,835円①
・申告後
100万円 ✖ 15.315% = 153,150円②
申告後②ー申告前① = 15,315円
10万円ー15,315円=84,685円
手順③復興税限度額、控除残額の算出
- 残額の算出
その年の控除対象外国所得税の額-所得税の控除限度額 - 復興税限度額の算出
その年の復興特別所得税額✖(その年の国外所得額÷その年の所得総額) - 外国所得税額 = 控除限度額 + 1 or 2 の少ない方
(少ない方になるため基本的に2になります)
例
総所得300万円(収入540万円) 米国配当金50万円
所得税20.25万円(社会保険料、保険控除など)
手順①
20.25万円 ✖ (50万円 ÷ 300万円)≒33,750円
- 残額の算出
外国所得税の額
(50万円 ✖ 10% = 5万円)
5万円 - 33,750円=16,250円 - 復興税限度額の算出
20.25万円 ✖ 2.1% ≒4,253円 - 外国所得税額の算出
控除限度額+1 or 2の少ない方
33,750円+4,253円=38,003円
外国税額控除の繰越について
限度額を超える外国所得、限度額未満の外国所得どちらについても3年間の繰越ができます。
しかしながら、給与を国内で貰っている場合には、ほとんどの方が
外国配当金 <<< 国内の給与
という方が多いと思います。その場合は、毎年控除限度額を超えるため、いくら繰越をしても、節税の恩恵が享受できません。そのため、ほとんどのサラリーマンは考えなくて良いと思います。
ただし、外国でも給与所得があるとか、外国の配当金が大きい方は、節税の恩恵が享受をできるため、別の記事で詳細を記載しますのでご確認ください。
繰越ができる!外国税額控除について
確定申告の必要書類
申請時期は上に書いた必要書類がそろってから申請はいつでも可能となります。税務署で申請する方のオススメ時期は1月下旬から2月15日までです。
(2月17日から3月16日までは個人事業主の方の申告が多いため)配当控除の申告は還付申告となるため、2月17日より前に申告することができます。
私が実際に申告をしてみて感じた人の数は2月17日になると5倍くらいになると感じました。
(現在はコロナ禍の影響もあり2月17日以降はWeb予約や整理券が配布されているようです。)
まとめ
- 二重課税が解消される
二重課税されている場合、外国課税額のみを減税する措置です。 - デメリットの確認
確定申告するため、自分が誰かの被扶養に入っている場合、所得額により被扶養から外れたり、給与所得が無い場合43万円を超えると住民税を納める必要が発生します。(未成年の場合は住民税所得額が異なります) - 控除額に行減がある
控除の上限は外国所得の割合が多ければ多いほど上限が上がる。
二重課税を全額回避することは、所得額と外国所得の割合が限度額を計算する上で重要な要素となっているため、国内で収入を得ているサラリーマンには節税を享受するにはハードルが高いです。
しかし、他の配当控除などと一緒に申告する場合は、合わせて申告していくと新たな負担が増えることもありません。
そして、来年、再来年にかけて海外への投資金額が増えるにつれ、有利にはたらいていく可能性も十分にあると考えています。
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