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なぜ、日本人は貯金額が多いのか?『預金の真実』

最適化
ぜんきち
ぜんきち

日本人の貯金比率が大きい理由は?
なぜ貯金が多いのか?

この疑問を解決する記事を書きました。

小さいころ、お年玉の使用用途を聞かれ、「貯金する!!」と答え、褒められた経験はありませんか?

これまで、日本人のほとんどが『資産を守る方法=貯金』という誤解がありました。

この記事では、先進国と日本との資産比率を確認して、『なぜ、日本人の貯金比率が大きくなってしまったのか?』について振り返り考察します。

Check Point
  • 日本と諸外国の貯蓄率比較
  • 諸外国に比べて大きい理由
  • 貯金に対する不信感はないのか?

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先進国と日本の預金比率

出典:日本銀行調査統計局『資金循環の日米欧比較』(2021年8月20日発行)

こちらは、2021年の金融資産の割合です。

世界の物価上昇率と、長期デフレが続いた日本を単純比較できません。

しかし、それを加味したとしても、50%以上の貯金率は少し異常に感じてしまいます。

では、なぜ諸外国と比べて、貯金割合が多くなったのか考察します。

貯金の金利推移

こちらは1915年から2002年のチャートとなります。

出典:郵便貯金利率沿革表金融経済統計月報データより作成

定額預金・定期預金が行われたのは、1937年からとなります。

1980年までの金利を見ると、3%~7%(定期預金)で推移しています。

金利が高かったから、みんな貯金したのかな?

ぜんきち
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実は、そうでもないのです

過去の高金利から、貯金に資金が集まったと認識している方もいらっしゃいますが、それは小さな要因の一つで、他にも主たる要因があります。

昔に預金封鎖がありました、預金封鎖から自己資産を守る方法をこちらの記事で考察しました。

貯金の比率が大きい理由

これから解説する3つの事柄を加味すると、貯金率が大きい理由は『政府活動によるもの』であると結論できます。

貯金率を妨げる要因の考察
  • 預金封鎖・財産税の影響
  • 株式のリターン
  • インフレ率

この結論を説明するために、70年以上前に日本で起きていた「預金封鎖」「財産税」についての影響について

そして、他の金融資産のリターンを比較して貯金比率が多くなった背景を解説します。

預金封鎖・財産税の影響

1946年の預金封鎖と財産税法が施行された頃は、ハイパーインフレが起きた時代でした。

当時、月に4.9%で年に換算して58%のハイパーインフレが発生し、そのインフレを抑える目的で預金封鎖が行われました。

インフレの具体例
月に約5%のインフレの具体例をあげます。月に5万円の賃貸住宅に住んでいたとしたら、半年後に6万円支払わなければならないインフレです。

また、預金封鎖と同時に財産税法が施行され、この法律の目的は戦時中の利益の没収として行われました。

財産税って、預貯金率は下がりそう..

ぜんきち
ぜんきち

庶民は税負担なしだったから、影響はありませんでした

課税されたのは、10万円以上〔1〕の資産を所有する方が対象。現在の価値にして5,000万円の準富裕層から、累進超課税方式が取られ、

財産税で課税された世帯数は、総世帯の3.5%となり、平均負担税率は34.0%でした。つまり、国民のほとんどが課税されませんでした

国民の貯金に対する悪影響はなかったと評価できます。

〔1〕当時の10万円:ハイパーインフレ化もあり、現在の5,000万円と言われています。

  • 国民の多くには影響がない
memo
日本国内にある個人財産総額は1438万戸の4032億円でした。そのうち課税されたのは55万戸の1351億円となります。

当時のインフレ率

預金封鎖にもハイパーインフレについて触れましたが〔2〕、ここではハイパーインフレを除く機関の日本のインフレ率(物価上昇率)について確認してみます。

残されたデータで最古のものは1956年となります。

〔2〕第二次世界大戦終戦(1945年)以降に預金封鎖が行われた、1946年にはハイパーインフレが発生

出典:Trading Economics

1973年から1975年にかけての急騰したインフレは”第一次オイルショック”と呼ばれる石油関連需給による急激なインフレとなります。

これを除けば、1985年頃まで4~10%の範囲で物価上昇が起きていました

預金していると実質マイナスとなりそう…

ぜんきち
ぜんきち

物価上昇が大きいため、金利が小さいと実質的に資産が小さくなります

預金の利回りが4%~7%だったことを踏まえると、実質利回りがマイナスのリターンであったと考えられます。

  • 物価上昇率は4~10%で推移

超長期における株式投資のリターン

日経平均株価が存在する1949年からのチャートとなります。

出典:my Index 過去95年の市場暴落と回復年数

1949年からの30年間の利回りは約12.53%と大きいリターンがありました。

インフレ率を加味したとしても約3%~8%の実質利回りです。

昔の株式は右肩上がり♪

政府による貯蓄奨励

インフレ率が現在と比べ物にならないくらい高い事や、株などの金融資産のリターンが優れていることを加味すると、

貯金が国民心理に根強く浸透している理由は、『メディア』によるものと『教育』が大きく影響しています。

預金教育

当時、小学校まで出向いて、『子ども銀行』いう名の預金教育のための、架空の銀行や、貯金についての授業があったくらいです。

過去になると、現在と異なり情報を取得する手段が限られています。

そのため、学校での教育は人々を誘導するのに最も効果的ではないのか?と推測できます。

この小学生が、私たちの祖父となり、代々に渡り『貯蓄への絶対的な信用』が築かれたのではないのか?と想像するに容易いはずです。

戦時の貯蓄奨励

日中戦争が始まった1937年以降に、日本の戦費獲得を目的とする国民の貯金が推奨されました。

新たな貯蓄額として、270憶円を目標にして行われました。当時の270憶円は現在の約59.4兆円となります。1

〔1〕当時の1円が2200円から2600円で算出。参考値:大学生の初任給が75円(約20万円)、はがき1枚2銭(50円)

学生には「子ども銀行」で大人には「貯蓄奨励」という、全世代に向けて貯金教育が行われておりましたので、預金に対する意識は相当大きかったのではないでしょうか。

まとめ

先に記述した、『インフレ率』『株式のリターン』を考えると、金利が高いという理由だけで貯金を行うのはいささか疑問が生じます。

戦後についても、『復興』『近代化』のために銀行貸し出しと国債買い入れのため、多額の資金が必要となり、その資金の担い手が私達国民だった構図が続きました。

子供の頃から染みついた預金に対する行動と、3~7%の恵まれた利息からの成功体験が代々引き継がれて、金利が0.001%の現在に至っているのでしょう。

  • 40年代から80年までの預金金利推移が3~7%
  • インフレ率が4~10%、株式利回り約12%
  • 貯金比率が多い理由は『貯蓄奨励教育』
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