疑問がある方のために、記事を書きました。
最近上場したMarqetaってなんの会社?という方のために記事を書きました。
新たな決済方法“BNPL”をご存じでしょうか?この決済手段は、欧州でブームを巻き起こしており、GAFAMの一つであるAmazon(AMZN)に実装されます。Amazonに実装されたら世界中に一気にブームが起きると予想されています。
この新しい決済手段”BNPL”は Afterpay、AffirmやKlarna のどれを使っても、一定の手数料を得る企業があります。それがマルケタ(MQ)です。
今回は、今後注目されるであろうマルケタについて解説します。
マルケタ(MQ)基本データ
社 名 | Marqeta, Inc. |
本 社 | アメリカ カルフォルニア州 |
ティッカー | MQ |
セクター | Communications:通信サービス |
創 立 | 2010年 |
上 場 | 2021年(NASDAQ) |
時価総額(USD) | 9.274 Bil(2021.12.31) |
BNPLとは?
Buy Now Pay Laterの頭文字で、意味は直訳そのままで、「今買って後で支払う」です。新しい”割賦払い”となります。
概要としては、支払日を消費者が自由に設定でき、BNPL各社が提供するサービスにより、長期間の手数料無料期間があります。
これにより、これまでクレジットカードで高い利子を払っていた方の負担額が軽減されます。
詳しくはこちらで解説しています。
事業内容
まず、クレジットカードの仕組みを把握してから、マルケタが行うビジネスを聞いた方が理解が早くできます。
カード発行による利用料
【クレジットカード】
・決済ネットワーク:VISA、Mastercard
・カード発行元:銀行
消費者の情報は全てカード発行元に保管されています。そのため、システムは各企業それぞれ独自に作られており、画一的なものでした。
【MQ考案】
・決済ネットワーク:VISA、Mastercard
・カード発行元:様々な企業
(※システムをクラウド上で公開)
マルケタが行うビジネスは、カードを発行したい企業から、一定の利用料を貰うことで、 誰でも編集可能なプログラミング言語で構築したシステムをクラウド上でアクセス可能としました。
つまり、これまで障壁が高かったカード発行をマルケタが提供するプラットフォームの誕生により、誰でも行えるようになりました。
また、クラウド上に構築されているため、Amazonやその他のウェブ企業が持っているデータを掛け合わせ新しいサービスを創ることも可能となりました。
ライバル企業の出現は?
なぜ、今までマルケタのようなビジネスを展開する企業が表れなかったのか?と言うと、カード発行プラットフォームは金融監督当局から厳しい監視、技術力、財務力が必要となります。この外的要因による参入障壁が高いためマルケタのようなビジネスが生まれませんでした。
これから、同様な手順で新規参入を試みても長期間を要するため、その間に先行企業であるマルケタが市場を席捲されることから、難しいです。
発行以外の収益
収益がカード発行プラットフォーム使用時だけでなく、使用する機会があればその都度収益が発生するビジネスになっています。
手数料の大部分は、カード取引の受け手側の銀行が払い出し側の銀行に対して支払う手数料となります。
その他に、ATM手数料、不正監視、トークン化サービスなどがあります。
創業者兼CEO
創業者兼CEOのJason Gardner(ジェイソン・ガードナー)
家賃の電子決済システム会社Property Bridgeを創業し、創業14年後の2007年に売却。2010年に同社を共同設立しました。
人となり
ジェイソン氏は2015年春に、同社の売上目標を達成できないことから、資金節約策として、CEOの給与を40%削減しました。
これは、身を切ってレイオフ〔1〕を防ぐために行われました。
その翌年、大きな顧客と契約する事ができ、業績の改善が出来ました。
〔1〕:企業が労働者を一時的に解雇すること。
マルケタの業績
決算 | 売上高 $ Mil | EPS |
1Q | 48 | -0.03 |
2Q | 69 | -0.01 |
3Q | 84 | -0.03 |
2020/12 | 88 | -0.04 |
1Q | 108 | -0.06 |
2Q | 122 | -0.29 |
3Q | 132 | -0.08 |
2021/12 | 155 | -0.07 |
CF($ Mil) | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 |
フリーCF
|
2019/12 | -15 | -100 | 139 | 68 | -20 |
2020/12 | 50 | -58 | 167 | 228 | 48 |
上のキャプチャーは「売上高の推移」を表しています。YoYの上昇率は+76%で減速や加速は見られておらず、着実に上昇しています。
粗利がQ2の+70%➡Q4のYoYでは+108%と加速しています。
2021.2Q決算のカンファレンスコールで、BNPLの前年同期比成長率が350%とめちゃめちゃ凄すぎたガイダンスに対し、JPモルガンのアナリストが間違えていないか確認をしていました。
カンファレンスコール全文
マルケタの顧客
スクエア(SQ)、アファーム(AFRM)、ドアダッシュ(DASH)、ウーバー(UBER)などのサービスにマルケタのカード発行プラットフォームが利用されています。
なかでもスクエア(SQ)では、デビットカード「Cash App」に採用され、2020年の収益の70%を占めています。
2020年はウィルス感染拡大が影響しBNPLのスタートアップ企業であるAfterpay、AffirmやKlarnaのビジネスが活発になり、143.3 Mil(2019)から倍増の290.3 Mil(2020)となりました。
2021年も走り出しは順調で、2021.1Qで180 Milを記録しました。
他にもフィンテック企業、ウェブ企業や銀行にも利用されています。これらの顧客により、これまでに3.2億枚のカードが発行されています。
同業他社と今後の展開
民間フィンテック企業であるストライプ(Stripe)は、企業がバーチャルおよび物理的なカードを作成・管理できる競合APIをリリースし、フードデリバリーサービスのPostmates(ポストメイツ)と契約しました。
ストライプのビジネスが競合となりそうですが、決済方法が幅広い範囲で取り扱っています。そのため、カードに特化しているマルケタの方が優位性が出てきそうです。
マルケタの顧客は米国外に拠点を置く企業が約2%となっています。そのため、マルケタは今後の戦略として、アジアやラテンアメリカを拠点とする企業をターゲットにグローバル展開を計画しています。
2021年12月以降の下落要因
BNPLは、消費者ニーズを的確に捉え、急速に伸びています。
米国のBNPL利用者調査〔2〕によると、利用理由がクレジットカードの手数料・金利を支払いたくない。インフキュリオンの調査〔3〕では6人中に1人がBNPLの利用経験ありと答えています。
〔2〕:米国で18歳以上の使用者1862人を対象にアンケート実施(2020.7.7)
-インサイダーインテリジェンス
〔3〕:日本の16~69歳の824人を対象にアンケート実施(2021.7.20)
-インフキュリオン
株価下落理由
2021.12.16にBNPL利用の拡大に伴い、米消費者金融保護局(CFPB)がBNPL各社へ資料の提出を求めました。
主要な内容としては、
1.消費者の負債額を拡大させていないか
2.法の抜け道の悪用
3.消費者データの収集・転売
以上の3つです。ただ、これらについてはklarnaやAffirmは歓迎しています。これを受けて、BNPL各社の株価は下落しています。
今回の調査は”資料の提出”に留まっているため、影響は限定的なものです。BNPLはまだ浸透していないサービスなので、大きなリターンが見込める分、リスクが大きな投資となります。
資料提出の他にもクレジットカードの信用度合いを示す『クレジットスコア』が低下する事についても懸念が広がっています。
将来性
将来性は高く、テンバーガーを目指せる銘柄と言われています。超長期目線であれば投資できそうですが、実際には先述した外部要因(CFPEによる調査)が懸念されることや、利益を生み出していない同社は中期的に下落傾向。
相場の環境としては、2021年後半から生じたFRB利上げ観測により、グロース株は売られ、利益を生み出す企業つまり、儲かる企業が買われています。
マルケタの将来を考える上で、成長速度が保たれている事が必須となりますが、営業利益が黒字化するまでは、中々上昇に転じない展開が続きそうです。
2021.Q4の決算
売上高 155.41$(予想 137.79$)〇
EPS -0.07$(予想 -0.0792$)〇
ガイダンス 2022.Q1は48~50%の成長予想
次回決算➡2022.6.1
まとめ
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