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最新13版『ウォール街のランダム・ウォーカー』~12版との違い~

書籍

本書籍の初版が発売されて、50年が経過しました。節目となる50周年を記念して13版が2023年1月3日に英版が発売されました。(日本語版は2023年5月26日に発売)

著者はインデックス投資がない時代からインデックス投資を提唱し、現在では投資信託などに投資されている資産額の40%がインデックス投資となりました。

本書にファンが多い理由は版数を重ねる毎に、新たな情報が追加され世に生み出されてきたからです。

この記事では最新版となる13版と12版との違いに絞り、ほんの一部となりますが解説します。

そもそも、この書籍知らないんだけど…

本書の著者であるバートン・マルキール氏やこの書籍の必読部分についてはこちらの記事で要約しています>>5分で読める 要約

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12版と13版の主な違い

13版で追加された項目の解説に入る前に、主な変更点を記載します。

主要な追記ポイント
  • 「もくじ」の変更は12ヶ所
  • 20年代のミニ・バブルの追加
  • 新しい投資手法の追加(裁定価値・マルチファクター、ESG投資)

それでは早速、本書の変更点を確認してみましょう。

13版で取り入れられた変更点

前回の改変は2019年となる12版です。今回の13版は、それ以降に登場したNFTやミーム株などの情報が追加されました。

この他に、税金ファイナンスと行動についての付き合い方、ESG投資についてなど、最近人気の投資手法を理解する手助けをします。

最新版となる13版で変更された箇所は「もくじ」だけで、12ヶ所も変更されています。

変更点
・バブルの記載が改変
・新たな投資手法の追記
・2023年以降の株式の展望

次に、「もくじ」の変更点を具体的に確認します。

  • 「もくじで12ヶ所の変更

13版と12版の「もくじ」の違い

第4章 21世紀は巨大なバブルで始まった
  • 3.バブルと経済活動
  • 4.「ミーム株」のミニ・バブル
  • 6.その他のミニ・バブル
第5章 株価分析の二つの手法
  • 3.テクニカル分析の三つのよりどころ
  • 7.三つの重要な注意点
第9章 リスクをとってリターンを高める
  • 5.裁定価格理論
  • 6.マルチ・ファクター・モデル
第10章 行動ファイナンス学派の挑戦
  • 2.行動ファイナンスと貯蓄
  • 3.裁定取引(アービトラージ)の限界
  • 4.行動ファイナンス理論から得られる教訓
第11章「スマート・ベータ」と「リスク・パリティー」
  • 6.ESG(環境・社会・企業統治)投資
第13章 インフレと金融資産のリターン
  • 3.2009~22年にかけての状況

13版で追加された箇所の要約

13版では50周年ともあって、もくじが変わってなくても、新しい時代に合わせた改訂されています。その中で、3項目についてほんの一部ですが要約します。

第4章「 21世紀は巨大なバブルで始まった」の追加項目

第4章の追加項目
・「ミーム株のミニ・バブル」
・「その他のミニ・バブル」

「ミーム株のミニ・バブル」は、レディットという掲示板サイト(米国版「2ちゃんねる」)を発端とした現代のSNSバブルです。

この構造は、空売りするヘッジファンド vs 個人投資家 という「小」が「大」に立ち向かうような受けやすく、そして、熱狂が起きやすい状態を演出しました。

「その他のミニ・バブル」では2021年に流行したSPAC株や、ドージコインNFTがそれぞれ取り上げられています。

SPAC株:上場目的のために上場したペーパー会社のこと。
ドージコイン:暗号資産の一つで柴犬をイメージしたコイン。
NFT:ブロックチェーン技術を使ったオンリーワンのデジタルデータのこと。

どの時代のバブルについて一貫して言えることは、「価値」が置いてきぼりにされており、人々の熱狂がどれだけ続くのかが予測できない所です。

  • 最新のバブルについてもフォローしている

第11章『「スマート・ベータ」と「リスク・パリティー』の追加項目

第11章の追加項目
・「ESG(環境・社会・企業統治)投資」

日本ではESGよりSDGsが広く認知されていますが、多少違うもののどちらとも環境について意識されている点は同じと言えます。このESGは、米国において法律問題に発展するほど重要な事柄となります。

著者によるESG投資の評価は低く、「環境投資が市場平均を上回るリターンをもたらす幻想に惑わされてはいけない(要約)」と断じています。

  • ESG投資についてフォローしている

第13章『インフレと金融資産のリターン』の変更点

第13章の追加・変更点
・「2009~22年にかけての状況」
・「この先はどうなるか」

「2009~22年にかけての状況」では2009年の大暴落で割安となった状況から、コロナショックで一時的な下落があるものの、1982年~2000年初頭に匹敵するリターンの高さがありました。

「この先はどうなるか」には、中長期的な視点で、今後の米国指数についてシラーPERを例に解説しています。インデックス投資が世に出る3年も前にインデックス投資を提唱した筆者の相場観が伺えるのでこの事項だけでも読む価値があります

  • 2023年以降の相場感が記載

13版の価値と意義

初版本が発売されてから幾度に渡り、版数を重ねてなお販売部数が増加しているのは著者自身が新しい投資商品・その手法について、日々探求している賜物です。

この13版は50年の生きた情報が損なわれることなく、一冊にまとまった書籍となります。旧版を読んだことがあった方も購入での満足は得られます

要点の再確認

13版で追加された項目は以下の3つに集約できます。

  • 2020年代から始まったミニ・バブルについて
  • 新しい投資商品・手法についての考え方
  • これから先の米国株推移について

新版で見逃したくない章は、『4章、11章、13章そして14章』です。

価値と意義

この記事で要約はしていませんが、第14章ではライフサイクルに合わせて、具体的なポートフォリオの解説をしています。

実は、この章で解説される投資手法を取り入れるだけで、20代から60代にかけての資産運用には大きなミスをすることはなくなります

ぜんきち
ぜんきち

過去に裏打ちされた投資手法と、これからの運用がわかります

この記事での解説は、残念ながら本書の魅力の一部しか伝えられていません。本書の情報は「はじめに」と「エピローグ」から含蓄に富む情報が数多くあります。

50年前には少数派であったインデックス投資が主流となった現在に、インデックス投資への偏りがはたして健全な会社経営を促すことになっているのかは、読み手の知見によって考え方が異なることでしょう。

旧版を持っている方でも、はじめから最後まで楽しめる「ウォール街のランダムウォーカー」第13版はこちらから購入できます。

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こちらの記事では初版から主張する本書の基礎部分について解説しています。年数と版数を重ねる毎にこの基礎部分が正しいことが世に浸透していきました。>>ウォール街のランダムウォーカー 要約

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